セルフ・クラフト・ワールド
・村のNPC娘が主人公。オンラインゲームのなかで、独自の生態系がつくられてきた。生物研究者が相棒。
・表紙はこのふたりと、もう少し生物がたくさんいたほうが良い気がした。表紙と内容があまり合ってない感はある。
・どうして娘が主人公にラブラブなのかよくわからないが、そういうシステムだからかもしれない。一人称と三人称が混ざりっているのがよくわからない。
・プレイヤーの方が非人間的。NPCのほうが、人間的な生活を続けている。死んだプレイヤーは、AIを通してNPCになることができる。
・NPCは不死ではない。死ぬと再生できない。50日間隔で世界はセーブされている。むしろ定期的に入れ替わっており、そうしないと、変な学習をして思い通りに動いてくれないNPCがいる。
・G-LIFEの進化の部分と、ゲームのプログラムは少し別。よって、死体は食べてもドロップアイテムは食べない。
・エリスは古典的なディープラーニング。機械学習型。ほかにも人間の行動記録をまねるシャドウ法、親和性の高い動物を模倣する方法などがある。
・プレイヤーより、NPCの方が判断がはやい。
・世界はブロック単位でできている。
・最後の方は、「AIに寄生して、記憶情報を運ぶ代わりに自分たちが保護される虫」がいるとのこと。少し伏線が足りないような気がする。
ロックイン
・パンデミックが起きて、寝たきりの人(ヘイデン)が増えた近未来のアメリカ。『サロゲート』のように、アンドロイドを遠隔操作して働く人々がいる。そしてもうひとつ、その人たちのために、『統合者』と呼ばれる職業の人がいて、ヘイデンのひとの人格を自分におろしてきて、ボディを貸してあげる人がいる。その人たちにまつわる殺人事件。
・最近見た「バットマンの洞窟みたい」がいっぱい出てきて笑う。あと『トロン』もでてくる。
・最初、『統合者』=そういう障害者、のことかと思い、あとで職業のことだとわかる。
・脳にニューラルネットワークを仕込む、ということなんだけど、その説明で良かったんだったか。
・統合者の話に、『エイブラムズ=ケタリング法』の施行、お金持ちの話、大企業の社長の話、自由自治の民族の話、ソフトウェアの話、ルームメイトの話などが詰められている。SFギミックはそんなに真新しいものではないかもしれないけど、楽しい。
・バディふたりのキャラはそんなに濃いものではない。別にいがみあったりもしない。ケンカもあまりしない。
・ヘイデンの人は、つねに無表情のロボットで出てくるのだが、あまりそのまわりの描写は少ない。そのあたりを掘り下げると、少しややこしいかもしれない。情景描写そのものが結構少ない気がするが、エンタメにふったからか。
結構、寝たきりの人の話になるので、暗い感じにしないようにしている。主人公が変にひねくれているわけでもない。
・ヘイデン主人公はつねにロボットなので、切ったはったのシーンでも危機感は小さい。とは思わず、やっぱり危機感はある。(なぜだろう)。むしろロボットはピンピンしているのに、本体の体は寝たきり無防備で、ズドンと打たれたら一発KOなのが結構こわい。
・セリフの応酬はさすがにおもしろい。(アメリカだからというのもあるが)。ちょっとキャラが芝居がかってるくらいがちょうどいいのかもしれない。ただし、ギャグパートとシリアスパートを分けたほうがいい。
・意外とお父さんがいい人だった。
・『代体』と似ている。
映画祭り
・前から見たかった。
・主人公である記者がヴェノム(種族名はシンビオート)にとりつかれちゃう。有名企業を告発しようとする→クビ。実験室まで行ってヴェノムとご対面。そのあとは、警察から逃げたり、ヴェノムと離れたり、もう一匹のヴェノムと戦いあう。戦う理由は、「悪のシンビオートは宇宙から仲間を引き連れようとしている。そうなったらオレが落ちこぼれになるので、ヤツを倒すぞ」という感じ。
・ハリウッドものをいくつか見たが、「社長とか貴族とか裕福な人」→「クビになる」のはテンプレみたいなものなのだろうか。あと「悪役が怪物になるまでのシーンを交互に見せる」。
・ヴェノムになるまでが結構長いというか、ヴェノムにとりつかれて覚醒するまでが結構長い。主人公が生き物食べたりするシーンが苦手で……。
・カーアクションはおもしろい。やっぱりシンビオートにも弱点があって、高周波数。
・ヴェノムと主人公が協力し合って戦うとかも良かったかもしれない。いまは物理でぶん殴るという感じ。
・導入がゴチャっててよくわかっていなかった。治安の悪い街に生まれた主人公、両親を悪漢に殺され、「別の恐怖でこの街の悪をとりしまらないと」。敵は幻覚剤を町中の水道管に流し、混乱に陥れるというもの。
・師匠役だと思ったクワイ=ガン・ジンが、まさかの悪役。 でもかっこいい。
・なぜアメリカのヒーローものは「自分で衣装をつくって戦う」なのだろう。
・
・敵役『ジョーカー』が出現。あのジョーカー。
・ジョーカーがぺろぺろするの好き。
・ヒーローものによくある『選択』がある。フェリーの乗客が、もう一方のフェリーを爆破するかどうかの問題。バットマンが、ヒロインと友人のどちらを助けるかの選択。バットマンが正体を明かさなければ市民を殺すという選択。
・若干、間延びしている感じはあるが、ジョーカーが簡単に逃げたりどうしたり。半分顔が溶けてるの見るのが苦手で……。
・フェリーの囚人のおじさんがかっこいい。
・ラスト、バットマンは全ての罪を背負って消える。そうしたほうが街のためになるから。それがヒーローだから。(バットマンは消えるだけでいいので、そんなにすべてを失う、というわけでもない気がするが)
・地下にやばいやつがいる。→ 街が無政府状態に。
・裁判が好き。
・モーガン・フリーマンとゲイリー・オールドマンがずっとかっこよかった。
・アフガニスタンで、捕虜として捕まっているあいだに強化スーツを製作。マジか。
・基本的に作るのが強さにつながっているので、なかなか地味で大変ではある。いきなりパワーアップ、とかできない
・
・ドキ、女性だらけの殺し合い大会。
・毎回、あっと驚くターミネーターをつくるのも大変だと思う。今回はふたりに分けられるターミネーター。もっと分裂で素早いアクションがあると思ったが、そうでもない。
・それよりサラ・コナーともうひとりのアクションが良かった。女性3人旅。
・シュワちゃんの設定には笑ってしまったが、今回は「人間と共存するロボット」もテーマにあるんだと思う。前回シュワちゃんは「ヒロインを育てるおじさん」になっていたが、ついに夫婦になり子持ちになり……。
・「圧倒的な絶望感」はなかなか出せない。もうマトリックスのスミスみたいに「人間全員がターミネーターになれる」とか、「倒しても倒しても増殖する」とか「そこらへんのデバイスがターミネーターになる」とかにしないと難しいかもしれない。
ハヤカワジュニアミステリ2
★ハヤカワジュニアミステリ祭り2
・主人公のアンちゃん、表紙だと普通の女子高生みたいだな……。
1924年にイギリスの小説家アガサ・クリスティが発表した4作目の長編推理小説。
・考古学者を父に持つ少女アンが、父が亡くなった後、ひょんなことから殺人事件を目撃する。冒険好きのアンちゃん。謎の暗号を解読してクルーズ船へ。行先は南アフリカ。
容疑者である『茶色の服の男』とはいったい誰なのか。
登場人物:アン、サー・ユースタス・ペドラー、ガイ・パジェット、ハリーレイバーン、ブレア夫人、レース大佐
「冒険好きの女の子」というのが最初ピンとこなかった。冒険ってなんだろう、と。まあ退屈な生活が苦手という感じかな……。ラストも彼女は選択をする。
『トミーとタペンス』 もそうだったが、探偵ではなく普通の一般人が事件に首を突っ込んでいくのは、そうそうアグレッシブなキャラじゃないと大変そう。「事件に巻き込まれる」というか「突撃していく」からな……。
p26:お父さんに振り回されるあんちゃん。「銀行に27ポンドあるだろう」「それは超過引き出しの額よ」
p29:親父がなくなって、みんなに親切にされる。
p34:アンのファッションテクニック? 帽子に2度パンチ。
p80:ドヤ顔
p92:ゲロゲロに船に酔う。
p112:『茶色の服の男』と初対面。異常にいじわるをしたくなるが、じつはめっちゃ惚れてた。
p130:レース大佐によるカマかけ。本当に知っているかどうかの罠。
p174:惚れちゃっている情熱的。
『いわば犬みたいなものね、ずっと鎖につながれてたとか、ひどい虐待を受けてきたとか、そういう犬が、見さかいなしにだれにでもかみつくのとおなじで。終始、気が立って、歯をむきだしてうなってばかり。一目あの人を見たとたんに、いままで築き上げてきた人生が、がらっとひっくりかえっちゃった。あのひとを愛してるわ。あのひとが欲しい。あのひとを見つけ出すまで、アフリカ中をはだしで歩きまわるのもいとわないし、見つけたら、きっとわたしを好きになるようにして見せる。あのひとのためなら死んでもいい。あのひとのために働き、奴隷にもなり、盗みもし、物乞いだって、借金だってしてみせる! さあーーこれで洗いざらいぶちまけたわ!』
p215:
『『パメラの危難』の第三話。このわたしの身にもいつか同じようなことが起こらないものか。――ところが、現実の場合、今週の第三話の終わりで、彼女自身が突然一巻の終わりとはならないという保証など、どこにもないのである。』
p218:なぜこういう敵はすぐに人質を殺さないのか。いろいろあるんだよ。ボスに言わずに勝手に殺しちゃやばいだろ。悪い組織も管理職なんだよ。(あと警備がザル)
p245:オーデコロンとりにいかせる作戦ではしゃぐブレア夫人かわいい。
p280:アンによるジェンダー考察。生活共同体を営むようになって、はじめて女性は弱いものとされるようになった。
p285:3人くらいの男にまで惚れられるアン
p296:落っこちたアン。
p334:『またも銃弾が浴びせられてきた。その一発が、ハリーの頬をかすめた。彼が振り向いた時には、わたしは弾をこめ終わっていた。彼はだしぬけに左腕でわたしを抱き寄せると、一度だけ荒々しくキスしてから、また窓の方を向いた。とつぜん、その口から叫び声が上がった。』
映画みたい……。
感想会追記
感想会で言えてなかったことの追記です。返信不要です。
★「ゲスト講師らの『なにかふわっとしている』的なコメントについて」
梗概の書き方はほとんど完ぺきだと思うので、「とても読みやすいけどおもしろさが足りない」的な意味だとは思います。
① 前回のゲスト作家が「ここが読みどころだっていうのがわからなくて」「もっとキャラクターを強めないと、どこにでもある話になりそう」と仰っていましたが、すこし梗概の掘り下げが足りないのかなと思います。個人的には、主任講師が言っていた「家電がどうやって活躍するかもっとアイデアを詰めれば」に賛成です。そちらのほうがSF的にも面白そうです。
自分の場合は、梗概で「テーマをどんどん掘り下げていく」傾向にあるのですが、本所先生の場合は、加速したり色々ギャグを盛り込んだ方が良いかもしれません。ただ、テーマは絞った方が良いと思います。(あまりこういうコメディを書いたことがなく、アドバイスが乏しいんですが)
(② 似たようなAIコメディとしては、3年前の選出梗概はこんな感じなものもありました。AIが製作者のもとまでがんばって移動する話です。)
③ また、本当の上位(最終候補レベル)には、コメディだけだと難しいかもしれません。読みやすい作品でも、SFとしてハッとする要素、新しい要素、考えさせられる要素、があると良いかもしれません。『最適なPAL』は評価されていましたが、家電AIの視点でいろいろがんばるというのは、商業の既存作品でもあまりなかったんじゃないかと思います。(自分の観測範囲で)。
最終実作も48,000字くらいあるので、なかなかコメディだけで押し切るのは難しいかもしれません。今回の『教育SF』や『意思決定の多くをAIにゆだねた人間はどうなるか』等をもっと掘り下げると、おもしろいSFになりそうではあります。(ただ、すでにたくさん書かれたテーマもあるので、注意は必要です)。このあたり、コメディとシリアスのバランス、笑い以外の感情(最後にちょっと感動など)は、本所先生が読んできた商業作品を参考にしてください。かなりレベルの高い話かもしれませんが……。
④ 手前みそですが、自分が3年くらい前に初めて梗概選出されたのは下記の梗概でした。
当時はネタがほとんど思いつかず、ネタを深めるにはこれしかないという感じで、ぎりぎりまでストーリーづくり&資料あさりをした記憶があります。
(ロボットが葬儀屋をする話。実作は途中で終わってるので読まなくて良いです)。
いま読むとけっこう暗い話ですね。
(これはゲスト作家の法月さんだけに推してもらい、主任講師にはNGでした。しかもロボットの雰囲気が60年くらい古いので、参考にするのはまずいと思います笑。梗概全体としては50点くらいですね)
ここまでテーマに一点突破しろとは言わないですが、印象に残っていたので。
① 感想会で薦められた『滑車の地』ですが、泥に埋もれた惑星でたくさんの塔が立ち、そこで人たちが暮らしている話だったかと思います。塔と塔とのあいだに滑車とワイヤーがあり、泥のなかには化け物がいっぱいいて、ワイヤーから泥海に落ちた人がどんどん食べられます。そのなかで航空機?に乗る少女と男性の話だったかと思います。
これがなぜ評価されているかは自信はないですが、「いままで見たことない世界」がやっぱり大きいかなと思います。ただ短編で毎回ていねいにまるごと世界をつくってたら時間が足りないですね。(おそらくこの短編も連作・長編になると思います)。
② 今回の方野先生の梗概ですが、すでに梗概の書き方(ステップ①)は完ぺきだと思います。あとはどれだけおもしろくするかですが、いまはいわゆるファンタジー世界を間借りしてる感じで、オリジナルの部分がすこし少ないかと思います。オリジナルをだす方法ですが、やはりニンフの習性、ニンフがなぜ作られたか、ニンフがこれから惑星で何をするのか、などを深堀りすると良いかと思います。(それによって世界や歴史も変わってくる)。世界丸ごとつくるのは大変ですが、ニンフとその周辺の世界設定くらいならいけるだろう、という感じです。
③ 初めのほうの感想会で言いましたが、「世界をひとつ作っておいて、じつは世界の秘密はこうだった、とラストに飽かすのが、SFのひとつのパターン」でした。「パンデミックで皆冬眠していたが、じつはパンデミックは起きてなかった」とか、「政府の陰謀だった」とか。今回のニンフの話はそれと同じで、「じつはニンフは〇〇が理由でこの惑星のために必要だった」みたいなものです。「世界の秘密」は「世界」でなくてもよくて、AIロボットの秘密とか整形ダニの秘密とか家具AIのしくみの秘密とかなんでも良いです。これがうまくいけば、B評価以上はカタイと思います。
④ (SFのもうひとつのパターンは、「ものすごい無理難題が起きたけど、SF的に鮮やかにそれを解決する」とかです。映画で宇宙人とかが攻めてきて、科学レベルも向こうの方が圧倒的に上で、人類が滅びそう、となったときに、「じつは宇宙人はこれが弱点」「宇宙人と取引して去ってもらう」とかで、SF的に解決するものです。最近で言えば『三体2』とかがそうで、三体星人が地球に向かってきていて、もう絶望的、どうやって解決するか、という。読者としては、「ああそうやって解決するんだ」という驚きです。)
梗概の評価の仕方については、ブログにも書きましたが、主任講師の書評コラム本が良いかと思います。
https://chrestomanci.hateblo.jp/entry/2020/12/21/135943
(実作を書くやる気がなくなりそうな講評なので、話半分に聞いてください)
① SF的には、もう少しARの要素を生かしてほしいかなと思いました。兄の幽霊や燃えている様子だと、「本当にただの幻覚ではないか」という感じで、AR設定がなくてもできそうな展開だからです。例えばフラッシュアイデアですが、なぜか樹にARのポップアップがでてきて、主人公は樹の話していることがわかるとか、樹のセリフが出てくるとか、樹の寿命があと何年かわかるとか。(なぜそうなるかの説明は必要ですが。主人公は普通の人よりは樹にくわしそうなのと、長年このエリアの樹を見すぎたせいで、脳の記憶が作用して樹の気持ちがわかるようになったとか。なので主人公だけ見えるという理屈)。そうするとストラディヴァリウスの話もからめそうですし、森林地帯展示エリアもガンガン描写できそうです。そのあと燃やしてもいいですが。
兄弟子の話とかも良いのですが、あまり人間関係をテーマにすると、せっかくの独自の博物館設定、SF設定が書きにくいかなという気もします。
今回は設定は良かったのですが、ストーリーがちょっと設定から離れたかなという気はします。いろいろ資料を調べられたと思うのですが、それが効果的に生かされているかどうかはちょっとわかりませんでした。
② 吉羽先生はイールニール→妖精→スラディヴァリウスと来て、記憶ではイールニールが一番評価が高かった気がします。(個人的には妖精)。不思議系?と言ったら変ですが、「なんか不思議なことが起こっている」というのは良いと思います。あまりこういう小説を読んだことがないので、アドバイスできることは少ないですが、その不思議なことに「なぜそうなるか」の理屈や理論をどこまでつけるかは、作風とかリアリティレベル次第なので、なんとも言えません。(「なぜそうなるか」でSF的に面白い理由をだして「なるほど、おもしろい」と思わせるのはセオリーです。反対に、理屈を書かずに不思議なシーンでどんどん押していくのは、かなりセンスが必要そうです。)。どちらにしても、「SFとしてあまり見たことない設定だな、シーンだな、新しいな」と思わせるのは大事だと思います。
第5期感想交換会 第3回
開催日時:2020年12月20日(日)
時間:13:00 ~21:00
課題:「自分の得意なものを書きなさい」
講評作品数:梗概10 実作4
参加者数:14名(うち欠席2名。聴講のみ2名)
年末だからか、出席は少なめ。
梗概3回目、実作2回目になり、それぞれの作風がわかってきたころ。
幹事はそろそろ力尽きそうなので、骨はひろってほしい。
「似たようなSFは1回はググろう」
・「うなぎ SF」とか「博物館 SF」とか。どう考えてもこのジャンルの代表作みたいなものもあるので、知らないで書くのはわりとリスキーである。すべての過去作を読めとは言わないが、会社でも新しい商品やサービスを開発するときは、既存サービスを調べるし、学術論文も先行研究を調べる。調べるのは怖いが、既存作品があったらラッキー、くらいの気持ちで、パクったり参考にしたりしてそれより面白いのを書くといい。
★「自分がおもしろいと思った作品と、講座で評価される作品がちがう」
梗概や実作で、自分の評価と比べるのはとても有益で有意義なので、続けてほしい。
もしかすると、「好き」と「評価する」は違うかもしれない。「この作品が好き、わくわくする、感動する、かっこいい、こわい、胸キュンである」けど、「SF設定としてはありきたりだね。よくあるよね。設定が納得できない」など。ミステリも似たようなものかもしれないが、「好き」だけど「ミステリとしてはすでにあるテーマだし、トリックが納得できない」とか。
自分でも「この作品めっちゃ好き。とても読みたい」けど、「選出はかなり厳しいだろうな」と思うことはよくある。
それでも評価基準がわからない場合、 SFをたくさん読めということになるのかもしれないが、下記の文献は、主任講師が何百冊とSF小説をレビューしているので、わりと参考になる。数が膨大なのでパラパラとめくり、自分が気に入った作品、評価の高い作品を見ると良い。各作品の「あらすじ」や「おすすめポイント」も書かれているので、評価ポイントもわかるし、梗概の勉強にもなる。(ただし長編と短編で書くものは違うことは留意)
part1もあるし、1996年 - 2005年版(回天編)などもある。
【感想会 議事録(2020.12.20)】
〇SFを書くことについて
・発想法として、「はじめに”とんでもないアイデア(状況・現象など)”を設定し、それを成立させるための理屈を頑張って考える」というやり方がある。
・映像作品(映画・アニメなど)と小説は、物語の見せ方が異なる。
小説を書くにあたり、映像作品を参考にしすぎるのは注意が必要。
・現実に対して、新しい価値観を提示する要素があるとよい。
・SFは、「特段の理由なく主人公が特別」であることを嫌う。
主人公が特別な属性をもつ場合、理由付けが必要。
〇梗概について
・設定と物語の分量は、バランスをとる必要がある。
(設定を盛りすぎると、規定字数内に物語が入らなくなる。)
(文責:方野佐保)
夢想真:黒い薬缶
本人から:怪談っぽい話にしてみました。
円城塔事前評:これ何枚にするの?800字くらい?
・ホラー小説とは?
・定石なら、自分に便利な道具を乱用したら報いを受ける。
・薬缶そのままだとシンプルすぎるので、黒くした。
・SCPというものが世にあるらしい。
・黒い薬缶が独り歩きしていくと面白いのでは?
・とぼけた感じとか雰囲気もいい!
吉羽善:ストラディヴァリウスの墓守
本人から:資料になりそうな生態系ドキュメンタリー教えて!
・ニコラは兄弟子?弟弟子?たぶん、兄弟子では?
・原材料になる木だから、墓守じゃなくて乳母では?
・実際に火事になりそうになる展開のほうが正当なのでは?
・博物展示と同時にデジタルデバイスで同時に展示をやるのはなんかすっきりしない。
・菅浩江さんの作品とちょっと近いのでチェックしておいた方が良いのかも!
・先行作品は読む余裕がないなら、せめてググっておこう!
邸:ぺりぺりぺりぺり
自分から:タイトルから入りました!
・「正しくより都合良く」というのがじつは重要なところでは?
・ホームビデオは2080年にしては、オールドメディアでは
・肉体の死はデータアップロード/ダウンロードで、この世界では乗り越えられているようだが、ではなぜ奥さんはその方法を取らない?
・自分の都合の悪い記憶を消して生きる設定にするなら、その人のアイデンティティがどうなってるか考える必要がある。
本所あさひ:仮想空間のまみむめも
・円城事前評;遠慮してる、ゆえにふわっとしてる。
→どうすればよいか?
・教育SF、サイバースぺーㇲでアバターが出てきて実は現実の人間と違うというのは大概よくある。
・「わたしたちはずっと友達だよ!」というのをおっさんが言うというのをやりたかった。
・つまりこれVtuberでは?
・208X年がミソでは?
・茂再生物語として展開するのどうだろう?たとえば、元俳優とか。
・サイバースペースで完結している社会で直接会いに行く展開にするなら強めの動機がいるはず。
・やっぱり完全なサイバースペース社会が来るのは2080年代か?
・教育SFから話がズレてきてるのでは?
以下実作篇
去場司:ドアに恋するバルセロナ
自分から:盛りすぎたかも。結局ドアも人間っぽくなってしまった。(文責:岸田大)
創作反省
・ジャンル初挑戦なので、まだレベル1。自己評価30点くらい。
★準備段階の反省
① テーマが「得意なもの」となっていたのが、なぜか全然知らないタイムトラベルものを書こうとした。数年講座やっている弊害というか、時間が空いてしまい、初回はやはりちがうジャンルに手を出してしまいがち(で失敗する)。こういうときでないと勉強しないような気がしたので、やってみる。もしかしたら本当に時間ものが苦手なのかもしれないが、やってみたかったのでしょうがない。こういうチャレンジは後半になるほどしにくくなってくる。
もう少しものになればよかったが、厳しい。
② いろいろ複雑なプロットを組む予定だったが、難しかった。なかなか初稿をあげられず、ようやく書き出したのは締め切り前日?くらいからだったかもしれない。いろいろなパーツ・要素がからみあっている話を書くのはしんどいが、時間がいる。ふわふわ遊んでいる時間がどれだけ必要なのか、よくわかっていない。とりあえず初稿を挙げたほうが良かったかもしれない。
今年のテーマ、「過去作はあまりよまずにがんばろう」と思ったけど、初回から破っている。梗概に熱中している場合ではなく、実作をがんばるべきだが、やっぱりおもしろくない梗概を実作にしてもなあという感じはある。
③ 書きますか、どうですか。
本当はもう少し梗概を練ってから書きたいが、おそらく時間がない。何回も自殺するというこのこじらせパターンもいいかもしれない。(めちゃくちゃ痛いと思うのだけど、何をやっているのか)。
★創作上の反省
① なんかすごいDV男みたいに見えるが、30回以上は優しくしておいて、それでもどうにもならないから、「修造みたいに励ませばいけるのでは」という、なかばヤケの作戦。
最初はキャラクターの男女が逆だった。不思議な女の子がやってくる、という設定だったのだけど、ひっくりかえしたほうがおもしろそうだった。
② 本当は、「主人公が毎回なぜか死ぬ、それを男女二人で解決していく」というのにしたかった。「何十回も繰り返される文化祭前日、なぜか毎回ナツキが死ぬ(殺される)」とか。そちらのほうが、理不尽な感じ、ナツキの理不尽菅が出ていた。今回は自殺にしてしまった。それゆえのこじらせ感もあった。
③ いまはストーリー要素が少なく、演劇のふたり芝居みたいになっている。閉じられた環境で漫才するのも好きだが。
④ 時間的な矛盾
「何回もループしていたら、受験のテスト問題もわかるのでは?」。そういえば「リピート」にもありましたねそういうの。これは「問題がわかってても解けないくらいナツキがバカ」ということで……。
(有名大学の試験問題ともなると、マジで問題が何を言っているかわからないときがある。問題がわかってても解けない)
★ 感想会でのフィードバック
① ループ目的で死ぬのは苦しいので、だんだん自殺の方法はゆるい方法になっていくのでは?
→「自殺の理由」がだんだんどうでもいいものになっていくようにした
② 男の子は未来から来た? では本当の歴史(正史)をなぜ知らないのか
なぜ何回も死んでいるような女の子を未来に生かすようにするのか。
→ 「未来の正史ではナツキが死んでいて、ナツキがいたらすごい開発してくれそうなのにな~」
→「せや、歴史改変して、ナツキが死なないようにしたろ」→時間転移
③ 何回もループしているとき、ナツキとマサオミ以外の人間はどんどん入れ替わるようにして、「ループでずっと変わらない相手は運命の人」理論。
④ この話のメイン。
「なぜループしてしまうのか」
「なぜナツキはループに気づいていながらそれを言わなかったのか」
「どうやってループを抜けるのか」
→それらのオチが全部、「好きだったから」「恋愛」というのは、正直、作者的にはつまらない。ほかのことにしたい。
12/1 火
2
3
4
5
6日
7月
8火 このあたりから梗概スタート
9水
10木
11金
12土 このあたりひどかったね。
13日
14月
15火