まほうのことば

小説の新人賞などに応募しています。本の話や創作の反省。黒田なぎさ

ロックイン

 

 

パンデミックが起きて、寝たきりの人(ヘイデン)が増えた近未来のアメリカ。『サロゲート』のように、アンドロイドを遠隔操作して働く人々がいる。そしてもうひとつ、その人たちのために、『統合者』と呼ばれる職業の人がいて、ヘイデンのひとの人格を自分におろしてきて、ボディを貸してあげる人がいる。その人たちにまつわる殺人事件。

・最近見た「バットマンの洞窟みたい」がいっぱい出てきて笑う。あと『トロン』もでてくる。

・最初、『統合者』=そういう障害者、のことかと思い、あとで職業のことだとわかる。

・脳にニューラルネットワークを仕込む、ということなんだけど、その説明で良かったんだったか。

・統合者の話に、『エイブラムズ=ケタリング法』の施行、お金持ちの話、大企業の社長の話、自由自治の民族の話、ソフトウェアの話、ルームメイトの話などが詰められている。SFギミックはそんなに真新しいものではないかもしれないけど、楽しい。

・バディふたりのキャラはそんなに濃いものではない。別にいがみあったりもしない。ケンカもあまりしない。


・ヘイデンの人は、つねに無表情のロボットで出てくるのだが、あまりそのまわりの描写は少ない。そのあたりを掘り下げると、少しややこしいかもしれない。情景描写そのものが結構少ない気がするが、エンタメにふったからか。

 結構、寝たきりの人の話になるので、暗い感じにしないようにしている。主人公が変にひねくれているわけでもない。

 ・ヘイデン主人公はつねにロボットなので、切ったはったのシーンでも危機感は小さい。とは思わず、やっぱり危機感はある。(なぜだろう)。むしろロボットはピンピンしているのに、本体の体は寝たきり無防備で、ズドンと打たれたら一発KOなのが結構こわい。

・セリフの応酬はさすがにおもしろい。(アメリカだからというのもあるが)。ちょっとキャラが芝居がかってるくらいがちょうどいいのかもしれない。ただし、ギャグパートとシリアスパートを分けたほうがいい。

・意外とお父さんがいい人だった。

 

・『代体』と似ている。

代体 (角川文庫)

代体 (角川文庫)