まほうのことば

小説の新人賞などに応募しています。本の話や創作の反省。黒田なぎさ

第5期感想交換会 第4回

開催日時:2021年1月25日(日)
時間:13:00 ~21:00
課題:「神話をモチーフにする」
講評作品数:梗概11 実作4
参加者数:14名(うち欠席2名。聴講のみ1名、初参加2名)

 

 

・年が明けて。

・梗概選出された人が増えてきた。初参加のひとも増えている。

・司会を変わって頂いた。 おそらく次から幹事なしでも成立しそう。

 

 

 

・議事録

 

梗概ステップアップの振り返り

 >①はクリア、②も選ばれている人が増えてきた

 >次は③実作。コンスタントに

 >②については講座で選ばれる人自体が少ないので、A.B評価をコンスタントに獲得していくことを目標にすると良いかも

 

 >そろそろ実作書いてみよう。最終実作(48,000字)でいきなり本番は厳しい(3月は課題がないので狙い目)




梗概講評

  • アイディアは先行商業作品にはないか
  • ガジェット・アイディアを登場人物が食ってしまっていないか
    • 人間が活躍しすぎると折角のアイディアが目立たなくなる/出番がなくなってしまう可能性がある

 

  • そのアイディアならではの展開・描写をすると良い
  • ヤングアダルト小説について
  • 短編は人も物も活躍させると尺がなくなりがち。絞った方が良い。

 

  • 元ネタがあるなら解説した方が良い。特に今回は講座なので評価する先生がどこまで知っているかも分からないし、評価もしやすくなる。
  • 元ネタがある部分と自分が考えた部分をきちんと分けて書いた方がいい。
    • 異世界に行ってから解決法を示されるよりも、行く前から何かしらの伏線がある方が納得感があるかも。

 

  • バトルアクションものにするか否か
    • アクションものに特化するとライトノベルと対抗することになる場合がある。
    • バトルものを梗概でセンス良く書くのは難しい
      • 実作はさらに難しい。2万文字で収まらない可能性も高い。

 

  • 映像作品に寄りすぎていると、小説に落とす時に難しい
  • 短編で世界を相手取るには
    • 世界の秘密を知る、世界の仕組みが変わるならそこそこ力を持っている人が主人公になるケースが多い。
      • 子供が対抗するのは難しい。
      • ドラえもん的存在がいても限界がある場合もある
      • 一発逆転ネタを用意して交渉する、という手もある。
    • Indifference Engineは全員改造されていた。主人公一人のみ改造されている場合は難しいかもしれない。

 

  • 実作を完成させるには
    • 梗概の修正も出来ればいいが、初心者的に一番の近道は梗概通りに実作を書くのが良いのでは。
  • 短編で視点がころころ変わるのは難しい。
    • 視点は統一させた方が良い。
  • 今回のテーマ的に、神話を読み込んでいない人だと分かりにくい流れやセオリーがある場合は、アピール文などで解説しておくと良いかも。
  • Q.梗概をどのくらいの期間で書くか?
    • 参加者:自分はとりあえず書いて一週間ねかせて考える。今回は事前の梗概読み合い会で皆からフィードバックをもらった。
    • 設定、キャラクター、シナリオ、下調べ、既存作品を読むなどあるので中々1日では梗概書けない。
    • 調べる間に時間が掛かってしまう。
      • 梗概は調べもの・設定の掘り込み等きりあげ時も難しい。

 

実作講評

  • 表現・表記について
    • 「わかるけど分からない」比喩表現等。噛み合わせが上手くいくと読みやすくなるかも
    • 物語の導線が序盤で見えにくい部分があるのかもしれない。後ろの方にならないと見えない。情報なども後から出している部分が多いので、前もって出していると良いかも(消える含め)
  • 芸術系の描写を読ませる難しさ

 

 

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神話

 

 

・神話、伝説、昔話。神話は神話であり、伝説はちょっとした出来事、すこし現実に近い。(たとえば戦国武将がここを通ったとかいう伝説)。昔話は「むかしむかしあるところに」なので、いつでもどこでも何度でも起こる可能性がある。

p46 人類起源神話の最初の夫婦が京大、親子であることが多い。

・しかし現実の社会構造が神話に反映してるわけでもなく、むしろ反発の場合がある。

p48・現実の逆転としての側面

p229・神話の女性は男性の観念か。「処女にして母」が多い。男性の理想?

 

セルフ・クラフト・ワールド

 

 

・村のNPC娘が主人公。オンラインゲームのなかで、独自の生態系がつくられてきた。生物研究者が相棒。

・表紙はこのふたりと、もう少し生物がたくさんいたほうが良い気がした。表紙と内容があまり合ってない感はある。

・どうして娘が主人公にラブラブなのかよくわからないが、そういうシステムだからかもしれない。一人称と三人称が混ざりっているのがよくわからない。

・プレイヤーの方が非人間的。NPCのほうが、人間的な生活を続けている。死んだプレイヤーは、AIを通してNPCになることができる。

NPCは不死ではない。死ぬと再生できない。50日間隔で世界はセーブされている。むしろ定期的に入れ替わっており、そうしないと、変な学習をして思い通りに動いてくれないNPCがいる。

・G-LIFEの進化の部分と、ゲームのプログラムは少し別。よって、死体は食べてもドロップアイテムは食べない。

 ・エリスは古典的なディープラーニング機械学習型。ほかにも人間の行動記録をまねるシャドウ法、親和性の高い動物を模倣する方法などがある。

・プレイヤーより、NPCの方が判断がはやい。

・世界はブロック単位でできている。

・最後の方は、「AIに寄生して、記憶情報を運ぶ代わりに自分たちが保護される虫」がいるとのこと。少し伏線が足りないような気がする。

ロックイン

 

 

パンデミックが起きて、寝たきりの人(ヘイデン)が増えた近未来のアメリカ。『サロゲート』のように、アンドロイドを遠隔操作して働く人々がいる。そしてもうひとつ、その人たちのために、『統合者』と呼ばれる職業の人がいて、ヘイデンのひとの人格を自分におろしてきて、ボディを貸してあげる人がいる。その人たちにまつわる殺人事件。

・最近見た「バットマンの洞窟みたい」がいっぱい出てきて笑う。あと『トロン』もでてくる。

・最初、『統合者』=そういう障害者、のことかと思い、あとで職業のことだとわかる。

・脳にニューラルネットワークを仕込む、ということなんだけど、その説明で良かったんだったか。

・統合者の話に、『エイブラムズ=ケタリング法』の施行、お金持ちの話、大企業の社長の話、自由自治の民族の話、ソフトウェアの話、ルームメイトの話などが詰められている。SFギミックはそんなに真新しいものではないかもしれないけど、楽しい。

・バディふたりのキャラはそんなに濃いものではない。別にいがみあったりもしない。ケンカもあまりしない。


・ヘイデンの人は、つねに無表情のロボットで出てくるのだが、あまりそのまわりの描写は少ない。そのあたりを掘り下げると、少しややこしいかもしれない。情景描写そのものが結構少ない気がするが、エンタメにふったからか。

 結構、寝たきりの人の話になるので、暗い感じにしないようにしている。主人公が変にひねくれているわけでもない。

 ・ヘイデン主人公はつねにロボットなので、切ったはったのシーンでも危機感は小さい。とは思わず、やっぱり危機感はある。(なぜだろう)。むしろロボットはピンピンしているのに、本体の体は寝たきり無防備で、ズドンと打たれたら一発KOなのが結構こわい。

・セリフの応酬はさすがにおもしろい。(アメリカだからというのもあるが)。ちょっとキャラが芝居がかってるくらいがちょうどいいのかもしれない。ただし、ギャグパートとシリアスパートを分けたほうがいい。

・意外とお父さんがいい人だった。

 

・『代体』と似ている。

代体 (角川文庫)

代体 (角川文庫)

 

 

映画祭り

 

ヴェノム (吹替版)

ヴェノム (吹替版)

  • 発売日: 2019/01/11
  • メディア: Prime Video
 

・前から見たかった。

 ・主人公である記者がヴェノム(種族名はシンビオート)にとりつかれちゃう。有名企業を告発しようとする→クビ。実験室まで行ってヴェノムとご対面。そのあとは、警察から逃げたり、ヴェノムと離れたり、もう一匹のヴェノムと戦いあう。戦う理由は、「悪のシンビオートは宇宙から仲間を引き連れようとしている。そうなったらオレが落ちこぼれになるので、ヤツを倒すぞ」という感じ。

・ハリウッドものをいくつか見たが、「社長とか貴族とか裕福な人」→「クビになる」のはテンプレみたいなものなのだろうか。あと「悪役が怪物になるまでのシーンを交互に見せる」。

・ヴェノムになるまでが結構長いというか、ヴェノムにとりつかれて覚醒するまでが結構長い。主人公が生き物食べたりするシーンが苦手で……。

・カーアクションはおもしろい。やっぱりシンビオートにも弱点があって、高周波数。

・ヴェノムと主人公が協力し合って戦うとかも良かったかもしれない。いまは物理でぶん殴るという感じ。

 

バットマン ビギンズ(吹替版)

バットマン ビギンズ(吹替版)

  • 発売日: 2019/05/01
  • メディア: Prime Video
 

・導入がゴチャっててよくわかっていなかった。治安の悪い街に生まれた主人公、両親を悪漢に殺され、「別の恐怖でこの街の悪をとりしまらないと」。敵は幻覚剤を町中の水道管に流し、混乱に陥れるというもの。

・師匠役だと思ったクワイ=ガン・ジンが、まさかの悪役。 でもかっこいい。

・なぜアメリカのヒーローものは「自分で衣装をつくって戦う」なのだろう。

 

ダークナイト (吹替版)

ダークナイト (吹替版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

・敵役『ジョーカー』が出現。あのジョーカー。

・ジョーカーがぺろぺろするの好き。

・ヒーローものによくある『選択』がある。フェリーの乗客が、もう一方のフェリーを爆破するかどうかの問題。バットマンが、ヒロインと友人のどちらを助けるかの選択。バットマンが正体を明かさなければ市民を殺すという選択。

・若干、間延びしている感じはあるが、ジョーカーが簡単に逃げたりどうしたり。半分顔が溶けてるの見るのが苦手で……。

・フェリーの囚人のおじさんがかっこいい。

・ラスト、バットマンは全ての罪を背負って消える。そうしたほうが街のためになるから。それがヒーローだから。(バットマンは消えるだけでいいので、そんなにすべてを失う、というわけでもない気がするが)

 

ダークナイト ライジング (吹替版)

ダークナイト ライジング (吹替版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

バットマンを引退した主人公。キャットウーマンが出てくる

・地下にやばいやつがいる。→ 街が無政府状態に。

・裁判が好き。

モーガン・フリーマンゲイリー・オールドマンがずっとかっこよかった。

 

アイアンマン (吹替版)

アイアンマン (吹替版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

アフガニスタンで、捕虜として捕まっているあいだに強化スーツを製作。マジか。

・基本的に作るのが強さにつながっているので、なかなか地味で大変ではある。いきなりパワーアップ、とかできない

・  

ターミネーター:ニュー・フェイト (字幕版)

ターミネーター:ニュー・フェイト (字幕版)

  • 発売日: 2020/02/12
  • メディア: Prime Video
 

 ・ドキ、女性だらけの殺し合い大会。

・毎回、あっと驚くターミネーターをつくるのも大変だと思う。今回はふたりに分けられるターミネーター。もっと分裂で素早いアクションがあると思ったが、そうでもない。

・それよりサラ・コナーともうひとりのアクションが良かった。女性3人旅。

シュワちゃんの設定には笑ってしまったが、今回は「人間と共存するロボット」もテーマにあるんだと思う。前回シュワちゃんは「ヒロインを育てるおじさん」になっていたが、ついに夫婦になり子持ちになり……。

・「圧倒的な絶望感」はなかなか出せない。もうマトリックスのスミスみたいに「人間全員がターミネーターになれる」とか、「倒しても倒しても増殖する」とか「そこらへんのデバイスターミネーターになる」とかにしないと難しいかもしれない。

ハヤカワジュニアミステリ2

★ハヤカワジュニアミステリ祭り2 

 

・主人公のアンちゃん、表紙だと普通の女子高生みたいだな……。 

1924年にイギリスの小説家アガサ・クリスティが発表した4作目の長編推理小説

・考古学者を父に持つ少女アンが、父が亡くなった後、ひょんなことから殺人事件を目撃する。冒険好きのアンちゃん。謎の暗号を解読してクルーズ船へ。行先は南アフリカ
容疑者である『茶色の服の男』とはいったい誰なのか。
登場人物:アン、サー・ユースタス・ペドラー、ガイ・パジェット、ハリーレイバーン、ブレア夫人、レース大佐

 

「冒険好きの女の子」というのが最初ピンとこなかった。冒険ってなんだろう、と。まあ退屈な生活が苦手という感じかな……。ラストも彼女は選択をする。

『トミーとタペンス』 もそうだったが、探偵ではなく普通の一般人が事件に首を突っ込んでいくのは、そうそうアグレッシブなキャラじゃないと大変そう。「事件に巻き込まれる」というか「突撃していく」からな……。

 

 

p26:お父さんに振り回されるあんちゃん。「銀行に27ポンドあるだろう」「それは超過引き出しの額よ」

p29:親父がなくなって、みんなに親切にされる。

p34:アンのファッションテクニック? 帽子に2度パンチ。

p80:ドヤ顔

p92:ゲロゲロに船に酔う。

p112:『茶色の服の男』と初対面。異常にいじわるをしたくなるが、じつはめっちゃ惚れてた。

p130:レース大佐によるカマかけ。本当に知っているかどうかの罠。

p174:惚れちゃっている情熱的。
『いわば犬みたいなものね、ずっと鎖につながれてたとか、ひどい虐待を受けてきたとか、そういう犬が、見さかいなしにだれにでもかみつくのとおなじで。終始、気が立って、歯をむきだしてうなってばかり。一目あの人を見たとたんに、いままで築き上げてきた人生が、がらっとひっくりかえっちゃった。あのひとを愛してるわ。あのひとが欲しい。あのひとを見つけ出すまで、アフリカ中をはだしで歩きまわるのもいとわないし、見つけたら、きっとわたしを好きになるようにして見せる。あのひとのためなら死んでもいい。あのひとのために働き、奴隷にもなり、盗みもし、物乞いだって、借金だってしてみせる! さあーーこれで洗いざらいぶちまけたわ!』

p215:

『『パメラの危難』の第三話。このわたしの身にもいつか同じようなことが起こらないものか。――ところが、現実の場合、今週の第三話の終わりで、彼女自身が突然一巻の終わりとはならないという保証など、どこにもないのである。』

 

p218:なぜこういう敵はすぐに人質を殺さないのか。いろいろあるんだよ。ボスに言わずに勝手に殺しちゃやばいだろ。悪い組織も管理職なんだよ。(あと警備がザル)

p245:オーデコロンとりにいかせる作戦ではしゃぐブレア夫人かわいい。

p280:アンによるジェンダー考察。生活共同体を営むようになって、はじめて女性は弱いものとされるようになった。

p285:3人くらいの男にまで惚れられるアン

p296:落っこちたアン。

p334:『またも銃弾が浴びせられてきた。その一発が、ハリーの頬をかすめた。彼が振り向いた時には、わたしは弾をこめ終わっていた。彼はだしぬけに左腕でわたしを抱き寄せると、一度だけ荒々しくキスしてから、また窓の方を向いた。とつぜん、その口から叫び声が上がった。』

 映画みたい……。

感想会追記

感想会で言えてなかったことの追記です。返信不要です。

 

 

school.genron.co.jp

★「ゲスト講師らの『なにかふわっとしている』的なコメントについて」

 

梗概の書き方はほとんど完ぺきだと思うので、「とても読みやすいけどおもしろさが足りない」的な意味だとは思います。

 

① 前回のゲスト作家が「ここが読みどころだっていうのがわからなくて」「もっとキャラクターを強めないと、どこにでもある話になりそう」と仰っていましたが、すこし梗概の掘り下げが足りないのかなと思います。個人的には、主任講師が言っていた「家電がどうやって活躍するかもっとアイデアを詰めれば」に賛成です。そちらのほうがSF的にも面白そうです。
 自分の場合は、梗概で「テーマをどんどん掘り下げていく」傾向にあるのですが、本所先生の場合は、加速したり色々ギャグを盛り込んだ方が良いかもしれません。ただ、テーマは絞った方が良いと思います。(あまりこういうコメディを書いたことがなく、アドバイスが乏しいんですが)

 

(② 似たようなAIコメディとしては、3年前の選出梗概はこんな感じなものもありました。AIが製作者のもとまでがんばって移動する話です。)

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③ また、本当の上位(最終候補レベル)には、コメディだけだと難しいかもしれません。読みやすい作品でも、SFとしてハッとする要素、新しい要素、考えさせられる要素、があると良いかもしれません。『最適なPAL』は評価されていましたが、家電AIの視点でいろいろがんばるというのは、商業の既存作品でもあまりなかったんじゃないかと思います。(自分の観測範囲で)。

 最終実作も48,000字くらいあるので、なかなかコメディだけで押し切るのは難しいかもしれません。今回の『教育SF』や『意思決定の多くをAIにゆだねた人間はどうなるか』等をもっと掘り下げると、おもしろいSFになりそうではあります。(ただ、すでにたくさん書かれたテーマもあるので、注意は必要です)。このあたり、コメディとシリアスのバランス、笑い以外の感情(最後にちょっと感動など)は、本所先生が読んできた商業作品を参考にしてください。かなりレベルの高い話かもしれませんが……。

 


④ 手前みそですが、自分が3年くらい前に初めて梗概選出されたのは下記の梗概でした。
当時はネタがほとんど思いつかず、ネタを深めるにはこれしかないという感じで、ぎりぎりまでストーリーづくり&資料あさりをした記憶があります。
(ロボットが葬儀屋をする話。実作は途中で終わってるので読まなくて良いです)。
いま読むとけっこう暗い話ですね。 


(これはゲスト作家の法月さんだけに推してもらい、主任講師にはNGでした。しかもロボットの雰囲気が60年くらい古いので、参考にするのはまずいと思います笑。梗概全体としては50点くらいですね)
 
ここまでテーマに一点突破しろとは言わないですが、印象に残っていたので。

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① 感想会で薦められた『滑車の地』ですが、泥に埋もれた惑星でたくさんの塔が立ち、そこで人たちが暮らしている話だったかと思います。塔と塔とのあいだに滑車とワイヤーがあり、泥のなかには化け物がいっぱいいて、ワイヤーから泥海に落ちた人がどんどん食べられます。そのなかで航空機?に乗る少女と男性の話だったかと思います。
 
これがなぜ評価されているかは自信はないですが、「いままで見たことない世界」がやっぱり大きいかなと思います。ただ短編で毎回ていねいにまるごと世界をつくってたら時間が足りないですね。(おそらくこの短編も連作・長編になると思います)。
 
② 今回の方野先生の梗概ですが、すでに梗概の書き方(ステップ①)は完ぺきだと思います。あとはどれだけおもしろくするかですが、いまはいわゆるファンタジー世界を間借りしてる感じで、オリジナルの部分がすこし少ないかと思います。オリジナルをだす方法ですが、やはりニンフの習性、ニンフがなぜ作られたか、ニンフがこれから惑星で何をするのか、などを深堀りすると良いかと思います。(それによって世界や歴史も変わってくる)。世界丸ごとつくるのは大変ですが、ニンフとその周辺の世界設定くらいならいけるだろう、という感じです。
 
③ 初めのほうの感想会で言いましたが、「世界をひとつ作っておいて、じつは世界の秘密はこうだった、とラストに飽かすのが、SFのひとつのパターン」でした。「パンデミックで皆冬眠していたが、じつはパンデミックは起きてなかった」とか、「政府の陰謀だった」とか。今回のニンフの話はそれと同じで、「じつはニンフは〇〇が理由でこの惑星のために必要だった」みたいなものです。「世界の秘密」は「世界」でなくてもよくて、AIロボットの秘密とか整形ダニの秘密とか家具AIのしくみの秘密とかなんでも良いです。これがうまくいけば、B評価以上はカタイと思います。
 
④ (SFのもうひとつのパターンは、「ものすごい無理難題が起きたけど、SF的に鮮やかにそれを解決する」とかです。映画で宇宙人とかが攻めてきて、科学レベルも向こうの方が圧倒的に上で、人類が滅びそう、となったときに、「じつは宇宙人はこれが弱点」「宇宙人と取引して去ってもらう」とかで、SF的に解決するものです。最近で言えば『三体2』とかがそうで、三体星人が地球に向かってきていて、もう絶望的、どうやって解決するか、という。読者としては、「ああそうやって解決するんだ」という驚きです。)
 
梗概の評価の仕方については、ブログにも書きましたが、主任講師の書評コラム本が良いかと思います。
https://chrestomanci.hateblo.jp/entry/2020/12/21/135943

 

 

 

 

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(実作を書くやる気がなくなりそうな講評なので、話半分に聞いてください)
 
 
① SF的には、もう少しARの要素を生かしてほしいかなと思いました。兄の幽霊や燃えている様子だと、「本当にただの幻覚ではないか」という感じで、AR設定がなくてもできそうな展開だからです。例えばフラッシュアイデアですが、なぜか樹にARのポップアップがでてきて、主人公は樹の話していることがわかるとか、樹のセリフが出てくるとか、樹の寿命があと何年かわかるとか。(なぜそうなるかの説明は必要ですが。主人公は普通の人よりは樹にくわしそうなのと、長年このエリアの樹を見すぎたせいで、脳の記憶が作用して樹の気持ちがわかるようになったとか。なので主人公だけ見えるという理屈)。そうするとストラディヴァリウスの話もからめそうですし、森林地帯展示エリアもガンガン描写できそうです。そのあと燃やしてもいいですが。

 

兄弟子の話とかも良いのですが、あまり人間関係をテーマにすると、せっかくの独自の博物館設定、SF設定が書きにくいかなという気もします。
今回は設定は良かったのですが、ストーリーがちょっと設定から離れたかなという気はします。いろいろ資料を調べられたと思うのですが、それが効果的に生かされているかどうかはちょっとわかりませんでした。 


② 吉羽先生はイールニール→妖精→スラディヴァリウスと来て、記憶ではイールニールが一番評価が高かった気がします。(個人的には妖精)。不思議系?と言ったら変ですが、「なんか不思議なことが起こっている」というのは良いと思います。あまりこういう小説を読んだことがないので、アドバイスできることは少ないですが、その不思議なことに「なぜそうなるか」の理屈や理論をどこまでつけるかは、作風とかリアリティレベル次第なので、なんとも言えません。(「なぜそうなるか」でSF的に面白い理由をだして「なるほど、おもしろい」と思わせるのはセオリーです。反対に、理屈を書かずに不思議なシーンでどんどん押していくのは、かなりセンスが必要そうです。)。どちらにしても、「SFとしてあまり見たことない設定だな、シーンだな、新しいな」と思わせるのは大事だと思います。

 

 

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