まほうのことば

小説の新人賞などに応募しています。本の話や創作の反省。黒田なぎさ

感想会追記

 

schoo

・ストーリーが梗概後半の『ある日~』から始まり、かなり短くまとめられてしまったので、肝心のモノたちが活躍する部分が短いのがすこし残念。またドアとのバディものにするなら、ドアをもっと活躍させた方がよさそうで、ファミリアでの最終決戦も『人+ドア  vs 人』にしたり、ドアの力をつかって戦うなどしたほうがよいかもしれない。人間の主要キャラ3人の人間愛憎ドラマが続くと、そちらのほうがおもしろくなりそうで、あまりモノが活躍しにくくなりそうである。モノ否定派閥(ヒト派)の敵も、じつは戦うときはモノを使役する、などの設定にした方が、モノがどんどん活躍させられる。最後は『人 vs 人とモノ vs モノ』にもできる。全体的に、シリーズの第1話感のような気がするので、最終回になりそうなくらいモノを出したほうがよいかもしれない。

 

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・現代パートはとてもおもしろかったのだが、過去パートはどうかわからなかった。書いてあったかもしれないが、過去の歴史について、読者が知っている前提という感じはあった。ややうろ覚えだが、「正史はこんな感じで、ここの〇〇の行動をずらせば歴史改変が行われ、西暦がずれる」くらいの説明があっても良かったかもしれない。またどこかに説明があったかもしれないが、西暦をずらすために2000年前にもどる、というのは。(コロナをなくす数年前に戻ればいいのでは、とか)。

 

 

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 一人称の梗概は大変だよ、と言おうとしたが、こちらはわりとクリアしている印象。AIがハイテンションで喋っているので、あらすじを話してもそんなに違和感がないのかもしれない。(普通の人間キャラが「ぼくは◯◯!」とか言ってたらちょっと変だし、アニメの次回予告みたいになるね)。

広義のコメディということだが、もし選出を目指すなら、笑いだけでなく、「SFとしてちょっと新しい設定、ストーリー」などが必要になってくる。また個人的には笑いだけでなく、ちょっとせつなかったり感動させたり、別の感情をプラスすると、満足感が増すと思っている。(最後にAIくんが反応しなくなって、消えていなくなったと思ったら翌日に戻ってきたとか)。 ブラックコメディはどういう感情を持ってくればいいのか、ちょっとわからない。

 

オチは「AIに左右されない自由恋愛」。初回の講義で編集者の方が、「SFのラストが『一般的なモラル・常識』なのはちょっとどうなの」と言っていたが、少し似ている。オチが現代で常識的な価値観になると、すこし肩透かしをくらう。(「ちょっと変わったAIの概念」とあるが、ユーザーの意思を尊重したりユーザの意思に従うのは、AIとしては普通なのでは、というのもある。ロボット三原則でも「命令には服従」とあるし)

 

 たとえばコズエさんはAIの指示に従わないので、画家を目指してるけどじつは絵がめっちゃへた、公務員とか接客業のほうが圧倒的に向いているのにね、とか。デート中もAIの推薦を無視して破天荒な行動をとる、家でもAIの推薦を完全無視している。サエナシ君にとって、それが気持ち悪い人に見えるのか、ワガママに見えるのかわからないが、こういうサエナシくんの考え方は、すこし未来的かもしれない。(AIの行動に従うのがこの世界の常識だから)。

『僕たちは彼女を気に入った』とあるが、AIはコズエさんのことがちょっと苦手、のほうがおもしろいかもしれない。「なんで僕たちの推薦に従わないの? サエナシくんが気に入ってるからいいけど」という。

『コズエさんはAIに従わない』コミックタイトルでありそう。