梗概の書き方_感想会でよく言うこと_参考にしたい選出梗概
・梗概メモ
- なぜ梗概を書くのか
- 参考になりそうな過去の選出梗概
- 梗概を書くのにどのくらいの期間が必要か
- 梗概に書くべき要素
- 梗概はどこまでストーリーを考えればよいのか
- 短編50枚におさまるストーリー
- 書くべきこと、書かないこと
- 自己アピールの書き方
- よくない自己アピ
なぜ梗概を書くのか
①「このストーリーで実作を書く予定なんですが、どうでしょうか」と人に見せる企画書のようなもの
② 当然、①の場合、たまにボツが生まれる。実作を書くまえに「おもしろくない」と判定されるとボツになる
③ 作者の頭のなかを整理するためのもの
④ 良い梗概とは、「実作を読んでみたい、書かせてみたい」と思わせるもの。その場合、梗概を読んで、少し「おもしろそう」とか「感動した」とか思わせないといけない。
参考になりそうな過去の選出梗概
先に参考になりそうな過去の選出梗概を挙げておく。とばしても良いが、最初に書いたのは、過去の作品から学んでほしいので。作風やジャンルを真似してほしいということではなく、梗概の書き方に注目してほしい。作風は自分で作ってもいいし、似たような人を参考にしてもいい。
(リンク先のページでデフォルトで梗概は見えていないが、「梗概」の下の▽マークを押す)
★『めたらやたらとユーレはあつい』 稲田一声
半日前に殺された巻上マリは、気がつくと自分が幽霊になっていた。同じ幽霊である『先生』が言うには、幽霊は人間に触れることで熱を奪うことができるという。マリは自分を殺したと思われる男に復讐しようとするが……。
5期聴講生の稲田先生による、第2回の梗概。ストーリー良し、キャラクター良し、SF設定ギミック良しの、スキのない梗概。
★『AI、無人島を脱出できず』進藤尚典
天才プログラマーにつくられたAIのポゾ。ニューヨークへと旅立った製作者を追いかけるため、ポゾは無人島の研究所からの脱出を目指す。ポゾはお金を稼ぐためにバーチャルユーチューバー『ポゾ子』になり……。
第3期大森望賞、『推しの三原則 』の進藤先生の第1回目の梗概。AIの話なのに設定がぶっとびすぎているギャグSF。少し改行が多い気がするが、ストーリーがどんどん思いもかけないところに展開し、評価された。「SF設定は科学的なリアリティが必要」、というのを崩してくれる梗概。
『ポゾは自分をメールに添付して送ろうとするが、容量が大きすぎて入らない』の衝撃。
★『踊るつまさきと虹の都市』 榛見あきる
近未来、外套に電子身体を投影できる世界。チベット高地の仏教学都で、バレエのレッスンを受ける隻腕の少年ペーマ。彼は自分の電子身体である羅刹女(ラクシャシー)を取り戻すため、電子身体を利用したダンスオーディションに挑む。
第4期の最優秀賞作品の梗概。(実作は47000字)。最終実作は梗概選出はないが、高評価だった印象。梗概がすこし実作の文に近すぎている気がするが、設定をたくさん考えている作品の代表ということで。最終実作なので、これをいきなり目指すのはまずいと思うが。
★『オール・ワールド・イズ・ア・ヒーロー』黒田渚
映像ストーリー自動作成エンジン「ミューズ」のもと、仮想世界上で演技行動をする役者AIたち。ヒーロー役のテピスは奮闘するが、彼らは視聴者からの人気度(フレーム)が下がると、自分たちが消えてしまうことを知っていて……。
自分の第4期、第3回の梗概。満票選出。ほぼ設定のアイデア勝ちのようなもので、ストーリーはあまり具体的に書かれていない。あと細かな設定がつめ切れていないので、ここから書くのに苦労した。審査員からは、「いろんな設定を詰め込むと、おもしろそうなストーリーができそう」とのこと。
梗概を書くのにどのくらいの期間が必要か
アイデアがすでにあれば1週間だったり、1から勉強するなら1か月かかっても難しいときもある。たとえばいまからチベット仏教の話について書こうとしたら、資料を集めたり勉強したりで結構な時間がかかるだろう。つまり得意なこと・詳しいことで勝負したほうが時間は稼げる。
自分は普通に3週間まるまるかかる。
梗概に書くべき要素
梗概は、「さっき見た映画のストーリーを、友達にオチまで説明する」ことと似ていると思う。そういうときは大体おもしろいシーンしか言わないし、どうでもいい繋ぎのシーンは省くだろう。(このストーリーの説明が、本当に苦手な人もいるが)。
① SF設定。SFは設定でおもしろさの3分の1が決まる(かもしれない)。あとはその設定をうまくストーリーに生かすことである。よくある、「こういうSF的な設定や特殊能力を考えたが、科学的な説明やしくみはあとで実作のときに考えます」というのはよろしくない。読んでいるひとが納得できないからだ。それはミステリで「奇抜な殺人事件は考えましたが、トリックは後で考えます」と似たようなものである。そのトリックが知りたいのだ。
どこまで論理的に説明するかは、その物語のリアリティにもよるが、「読んだ人が納得できたらOK」かと思っている。どの程度説明するかは、似たような商業作品を参考にしたりする。
② ストーリー。物語がないとやはり厳しい。とくに「設定だけでストーリーがない」というのはよくある落とし穴である。がんばって考えたSF設定を生かすような物語にしよう。
③ キャラクター。あまり重要視された記憶はないが、SF設定と絡めるなら重要。
④ オチ。絶対に書こう。
梗概はどこまでストーリーを考えればよいのか
小説を作る工程として、
① 梗概(400ー1200字) → ② プロット、③キャラクター履歴書、④設定表、年表 → ⑤ 実作
と進むと思う。プロットとは、ここでは1シーン(場面)ごとの5W1Hを書いて、そのシーンでどんなことが起きるかを書いたもの、ということにする。映画だったら「はこ書き」などと言ったりするのだろうか。(このあたりはよくわかってない)。A7サイズの用紙に書いたり(カードプロット)、大きな付箋に書いたりする人もいる。ここでシーンを前後に入れ替えたり、いらないシーンを削ったりする。
つまり梗概を書くときは、各場面の細かい5W1Hまではいらないが、おおまかな話の流れは考えておく必要がある。先述した「映画のおもしろいところを説明する」では、どうでもいいシーンは説明しないし、面白い設定やシーンは細かく話すだろう。つまり重要なSF設定や、盛り上がるシーン、キャラクターなどは、細かく決めておく必要がある。(上述の選出梗概を見てほしい)
最初は①梗概を書くために、②や③を考えて行ったり戻ったりするだろう。やってはいけないのは、⑤実作を書いてから梗概を書く、のはやってはいけない。
じゃあ具体的にどうやって話を考えればいいの? というのは、人それぞれでよくわからない。よくシナリオの本に「この項目を埋めていけば自動的にストーリーができる」というのがあるが、使ったことがないので紹介できない。
自分はまず出されたテーマをじっくり見つめ、自分の書きたいアイデアと共通点はないか、じっくりじっくり考えてストーリーを作る。正直、時間がかかってしょうがない。
短編50枚におさまるストーリー
次のステップとして、実作(50枚、約18000字)を見すえた梗概を書くというのがある。50枚と言ったら、ドラマやアニメで言ったらだいたい30分くらい。(最近こういう30分ぽっきりのドラマやアニメがあるのかはわからないが、かなり難しいサイズだ)。シリーズものの30分ではなく、事前情報はいっさいなし、続編もなし、映像がスタートしてキャラ説明して舞台説明して、ドラマがあってオチがあって満足のいく30分アニメは、結構大変である。
いま、受講生の中には、アイデアがあふれるほどある人や、ネタがさっぱり出てこない人がいると思う。アイデアをたくさん詰め込んでも、50枚には入りきらないことが多い。詰め込んだ梗概は、とっちらかってしまって面白くないことがよくある。上述の梗概は、「つまさき」以外は大体50枚に収まりそうな話である。
初心者の方は、自分が作った梗概が、50枚に収まるかどうか見積もるのが難しいと思う。自分は作品の長さを、「キャラクターの数」、「作中の時間の長さ」、「場所の数」、「設定の数」で見積もる。50枚なら、主要キャラクター(成長したり見せ場があったりするキャラ)は多くて3人、作中の時間は3日~長くて1カ月、出てくる場所は3、4つくらいかと思う。過去話や幼少期の話を書き始めると、どんどん枚数が足らなくなる。また設定は、現代の学校なら説明は1行ですむが、未来の異星の話なら説明がたくさん必要だろう。
逆に言うと、「長すぎるな」と思ったら、キャラクターを減らすか、作中時間を減らすか、場所を減らすか、設定を減らす。ジャンプ漫画も、新キャラが増えたりキャラの「過去編」をしたり新しい島に向かったら、話が延びるだろう。
書くべきこと、書かないこと
梗概には字数制限があるので、どうしても「書くべきこと」「書かないこと」と取捨選択が必要になる。読む相手の主任講師のことを考えたらどうだろう。主任講師はSF、書評家のプロである。そんなプロに、すでに知っていそうな既存のSF設定の説明をしても、おもしろくないしあまり効果的ではない。逆に、主任講師の知らなさそうなこと、専門外かもしれないことは、後述の自己アピなどに出典や元ネタなどを書いた方がよい。
もちろん作者が考えたストーリーや設定は、作者しか知らないので、しっかりと書く必要がある。
現実にはかなり荒唐無稽な事件があるし、それをもとにして物語を書いても、「そんなの現実的じゃないよ」と思われることがある。よって、「これにはちゃんと根拠があるんです」「自分が好き勝手に考えたことじゃないんです」と説明することは大事だし、どこからが作者オリジナルでどこまでが事実に基づいているのか、分けることは大事である。
自己アピールの書き方
基本的に、梗概で書けないこと、製作の裏話や作者の意図、出典や参考文献、設定の元ネタなどを書く。また書くきっかけとなった、似ているプロの商業作品を書いても良い。梗概に書けそうな追加の梗概を自己アピに書くのは、あまり効果的ではない。(上述の選出梗概を参考に)。
自分はよく、「これを書こうと思ったきっかけ」「このアイデアのここがおもしろと思った」「これが書きたいと思った」的なことを書く。正直、審査には影響はないかもしれないが、「もともと何が面白いと思って書き始めたのか」と、自分の頭の整理になる。
またこれは感想会からの立場だが、「このアイデアを書きたいと思った」と書いてくれていたら、こちらは「それならこうしたほうがいい」とアドバイスがしやすい。審査員も、梗概から意図をくみ取れなかった場合、「そういうつもりなのね」と納得するだろう。
よくない自己アピ
たまにある「実作では悲劇的に書こうと思います」というのは、あまりよくない。悲劇のストーリーの梗概なら、一読した人がちょっとウルっとするくらいでないといけない。『ロミオとジュリエット』の梗概を書いて、自己アピに「悲劇的に書こうと思います」とあっても、「見ればわかるよ」となるし、ロミジュリの梗概を読んで悲劇だと思われなかったら、それは梗概がかなりまずい、ということになる。
「ギャグで書こうと思います」というような梗概なら、梗概の時点で3、4回笑わせないといけないだろう。
また「ロボットの心とはなにか、を書こうと思います」等も、自分はあまり良いとは思えない。おもしろいと思えないからである。それなら、「ロボットの心とはコロッケのようだと思います。なぜなら〇〇だから」くらい、言い切ったほうがおもしろいし、それを梗概につっこんでおいたほうが、面白いからである。つまり「〇〇とはなんなのか?命とは?」ではなく、「命とは〇〇である」と、結論まで考えたほうが良いと思う。
本読み
ジュニアミステリ祭り。
・ある島に集められた10人の男女。ひとりずつ殺されていく
美人で料理ができて車も運転できる、凄腕のスーパー使用人ことルーシー・アイルズバロウさんが出てくる回。ある日パディントン発の列車の中で殺人事件が起き、その死体はクラッケンソープの邸宅にあるとふみ、ルーシーが潜入捜査。
『わたしがあちこち、そこらじゅうに出向いて、人に尋ねまわったり、調べたりできるわけじゃないもの』
『ルーシーは32歳、オックスフォード大学の数学科を首席でパスしている。
学問的な優秀さに加えて、健全な良識という芯がそなわっていた。学問で名をはせる人生では報われることは少ないと、ちゃんと心得ていた。自分よりは知力の劣る人々と接するのが楽しいのだった。つまり、人間と言うものが、さまざまな種類の人間が好きだった。ただし、ずっとおなじ人たちと接するのは望まなかった。それにまた率直に言えば、お金も好きだった。
ルーシーがいったんその家庭に入ると、すべての悩みや心配事や重労働が、いっさい消えてしまうのだ。
台床のゆかをごしごしこすり、庭に穴を掘り、犬の糞もきれいに始末し、石炭まで運んだ。』
ルーシーと子供たちのやり取りでなごむ。というか子どもたちも頭がいい。ルーシーは作中で3人ぐらいから言い寄られる、すごいおじさんにまで惚れられる、おじさんキラー……。
・ABCの時刻表をもとに、ABCの頭文字がつく地名と、頭文字がつく人間がつぎつぎと殺されていく。Aはタバコ屋の奥さん、Bはカフェのウエイトレス、Cは有名なコレクター。しかも犯人は、犯行の前にかならずポアロに挑戦状を送り付ける。犯人の真相は?
・今回の美人大賞。ソーラ・グレイ。秘書さん。
・途中から被害者遺族で犯人捜しの『特別部隊』が結成される。挿絵で見るとなんか笑ってしまうが……。
・「あなたはイギリス人のくせして、あからさまな質問をぶつけられた時のイギリス人の反応が何もわかっていない。
しかし、それを普通の会話にして、話の流れにさからうようなことを言えば、みんなすぐにべらべらしゃべりだすものです」
・ポワロさん、新聞記者になりすます。
・この時代に、プロファイリングのような技術、犯罪心理学の技術があったことに少し驚いた。
・「じゃあ、まだわかっていないんだね、だれが、だれがベティを――」
感受性が強く、用心深い人に良くあることだ。暴力的なことをことばにしたくないのだろう。
・新聞広告に掲載された『殺人』の予告。パーティのお誘いだと思った10数人の村の住人たちが、ひとつの家に集まる。とつぜん停電した部屋。3発の銃声。犯人は自殺したと思われたが、犯人の本当の目的は何だったのか。
つぎつぎと明かされていく村の人々の事情……。
・初めて読むマープル。おばちゃんパワー。
・メイドのミッチちゃん最強説。すぐかんしゃく起こすし暴れまわるけど、料理の腕は抜群?という子。お客さんが来ても対応しない、すぐ暇をもらおうとする、「あの人はナチスなのよ、あの金髪とブルーの瞳を見てください。だから、あたしをばかにして――」
・「フォール・ガイ(身代わり)」
・だめだめだと思った男と、美人の女性の急な裏庭のロマンス。「これがぼくのアリバイだ。ルーカス夫人が園芸用品小屋の入り口でいらいらして待っていても、ぼくはここにカボチャのためにやってきたんだ。いちゃついてるなんて言わせない」。文学青年は口説き文句がおそろしい。日本が舞台では書けないシーンだ……。
・ブラックロック夫人の挿絵はよかった。
・ヒンチクリフとマーガトロイドのカップルは幸せになるべき、というか、彼女らふたりが事件の再現をする、というシーンはうまいなと思った。ただ、完全に三人称の小説じゃないと書けないけれど。
・登場人物多くて美人祭り。。
・表紙の看護師レザラン女史が、とある遺跡の発掘チームに派遣される。そこではチームリーダーの奥さんミス・レイドナーが、毎日なにかに怯え、チームの雰囲気も壊しているということだった。 レイドナーは前夫から脅迫状が届いているという。そんななかで案の定、殺人事件が発生。わきあいあいとした10人の男女発掘チームのなかに、不穏な空気が漂い始める。
トリックはわからないが、複数の男女模様を書くのがうまいなあと毎度思う。とくに今回の中心人物、ミス・レイドナー、ライバルのマリー・マーカド、アン・ジョンソン、ハチャメチャなシーラ・ライリー。レイドナーは一見美人で天真爛漫だが、気分屋だったり、誰かをもてあそんだりする悪女なのか、どうなのか。シーラはちょっと若くておばかだけど、味がある。性格が一層ではなく、何層もある。とくに「この人が犯人なのか」が多いので、裏の性格を書くのが大変そう。
その点、語り手のレザランが良い子すぎる感じがしないでもないが、語り手なので仕方がない。相棒が女性ということからか、挿絵のポアロが3倍増しでかっこよく書かれている気がする。(ただ本文中はそうでもない描写なので、よけいに美化がすごい)。
『「このごろよく眠れないらしいとか、目の下にくまができているとか言われているとしたら、それは青鉛筆のせいよ。」
可能性はある。パーティー会場で、全部の男性からダンスを申し込まれないと気がすまないような人を、わたしは何人も見てきた。』
『でも、やはりなにもわかっていないのではないか。それくらい天真らんまんに見える。』
『このへんてこりんな小男が鋭い目の持ち主であるのは間違いない。』
SFファン交流
キャンディボックス 時間旅行者
プリースト 横浜小説
モンティパイソン 殺人ジョーク
クリストファープリースト 隣接界
第五の季節 - N・K・ジェミシン/小野田和子 訳|東京創元社
・ドリフトグラス、サミュエル
・内部構造
・時間リング構造。
夏への扉、商人と錬金術師の門、サマータイムマシンブルース
上田誠とジン
・情報の差を使った謎解き、コメディ
・決定論と自由意志、閉塞感の演出
・『マイナス・ゼロ」「エンパイア・スター」「墓標天球」
梶尾真治「時尼に関する覚え書き
★空間リング構造
際限ない広がりの表現、閉塞感の演出、ドラクエのマップ
・「遠近法」「バビロンの塔」「集中都市」「堕天の塔」 集会境界条件
(時間。空間複合トーラス)「クロックワーク・ロケット」
梶尾さんは時間SF(クロノスジョウンター)
・「タンパク質みたいに」
★フラクタル構造
無限に連なるレイヤー構造、レイヤーの透過性、横断するものの特別性
・構造素子、Fisherman's Tale
・プラネタリウムの外側、息吹
・「蒼穹のファフナー」はループも
易者の予言「○○はいついつに死ぬ」に乗っかって○○を殺す、と云うようなミステリがあります(予言と殺人で因果関係がループしてる)
★合わせ鏡
「無限に連なる同じ世界」「呪術的」「多様性」
月の合わせ鏡、「ドロステのはてで僕ら」映画
HELLO,WORLD レディプレイヤー1
シミュレーション仮設、VR、層の優位性
★ネットワーク
情報探索的な干渉の要請、物語の再構築
「serial experimetus lain 」
her story
99人の最終電車
棺詰工場のシーラカンス
★ゲーム
「13機兵防衛」
「タイムトラベラーズ」「街ー運命の交差点」「封鎖された渋谷で」
★ リーマン球面
用法:無限遠と一転の同一視、内側と外側の反転。『逆数宇宙』
・構造を俯瞰すること
「あなたの人生の物語」「Ever17」「エンパイア・スター」「エンジン・サマー」「モレルの発明」「エピローグ」
「この世の果てで恋をうたう少女YU-NO」★
「Ever17 -the out of」★
Prismaticallization ループしてるけど、主人公が気づかない話。
SF講座の第4期生は強かったのか? ~梗概数、実作数、ポイント計測~
気になったので、梗概数と実作数、およびポイント総数を3期とともに計測した。(一部に1期と2期)。
第4期感想会の、1年間のまとめはこちら。
各期の基本データ
表1 各期の基本データ(35位まで)
講義でのポイント割り振り方法
① 1回の講義につき、選出作3作には「10点(第4期からは20点)+(受講生総数-その課題で梗概を提出した人数)」が総得点になるように割り振る。
② 他の受講生には、梗概を提出した時点で+1点
③ 優秀な選出外の実作(自主提出作)に点が入ることもある
表1に、各期の基本データ(平均、得点の分散、標準偏差、変動係数)を示す。データは各期の得点35位までのデータを用いた。ポイント割り振り方法は各期同じなので、平均点を比べてもあまり変わらない。
平均は、本来なら全期ほぼ同じ値になるはずだが、下に行くにつれ平均点が少しずつ上がっている。おそらくこれは受講人数が多くなると、そもそも総得点が増えるからと思われる*1。各期、受講人数が少しずつ違う上に、期の途中から聴講生→正規受講生になったりするので、微妙に平均点が異なる。(第3期は途中から参入で合計48名)
第4期の平均と分散が大きく上がっているのは、これはこの期から得点方法が変わり、講師が作品に割り振る得点が10点→20点になったためである。
梗概提出数の計測
図1 梗概提出数
図1に梗概提出数(3期と4期)を示す。横軸は第〇回。梗概の選出、選出外は考慮していない。受講生数の差の補正のために、第5回までの第4期の提出数を-3、それ以外の回は-1の補正をかけた。補正込みでも、全体的に第4期の提出数は微増となっている。(特に後半)
実作提出数の計測
図2 提出実作数
図2に提出実作数(第3期、第4期)を示す。横軸は第〇回。こちらも第4期のすべての回を-1としたが、全体的に第4期が増となっている。(実作の内容は考慮していない)。
第4期の第8回の異常な伸びの理由は不明だが、強いて言うなら、第8回の講座日から〆切日までの日数は28日で、直前の第7回はわずか14日だったくらいだろうか.後半になって最終実作に向け、はじめて実作を書いたという受講生も多いだろう。
第4期の第9回、第10回(最終実作)は、新型コロナの影響で講座が延び、〆切も延びたので、その点は有利である。ただコロナの影響で仕事や執筆場所がなくなり、創作どころではない受講生もいたので、その点は微妙である。
第4期で自主提出が増えたのは、単に受講生のやる気が増えたというのもあるが、後述の、加点得点が倍になり、自主提出にポイントが振り分けやすくなったというのもあるだろう。( 第3期は、自主提出実作に感想を送る『ゴッド・ガン・レディオ』というwebラジオがあったが、第4期で実施していたら大変だったと思う。)
受講生の年間ポイントばらつき
他は、平均点を見ても仕方がないので、あとはポイントのばらつき具合(分散)くらいである。分散が小さいほど、ポイントのばらつきが小さくなり、接戦ということになる。
こちらの結果は、第1期~第4期まで計測し、1~35位、1~20位、1~10位までの分散のグラフまで作っていたのだが、諸事情により公開はやめておく。
結果から言うと、予想通り、第4期の分散がいずれも小さかった。(正確には、分散ではなく変動係数を用いた。これにより得点方法が倍になっても、受講生数が変わってもばらつき具合が比較できる)*2
特に1~15位、1~10位までの分散が小さく、だいぶ差が縮んでいる様子だった。
分散が小さくなった理由は、
① 受講生がよく梗概を提出することにより、提出点が増えてより分散が小さくなった。
② 加点ポイントが増えたことにより、講師がいろいろな作品にポイントを振り分けやすくなった。
③ 単純に色々な人が梗概選出されるようになった。 などが考えられる。
加点方法を変えたそもそもの理由は、梗概提出数が多くて選出実作への加点ポイントが減り(割り振り方法①による)、差をつけにくくなったため、だったと思う。しかし、②の結果、より多くの作品にポイントが振られるようになり、結果的に良かったのではないかと思う。③は確か、以前に計測したところによると、年間で1度でも梗概選出された人の数は、第3期より第4期の方が増えているはずである。(同じ受講生が選出される数が減った)。
下記に、それぞれのトップ10の得点を表示する。実データを見ると、得点方法(総得点)が変わっているのでわかりづらいが、確かに第4期の方が、全体的にバーが右に偏っているように見える(ばらつきが小さい)。
最終候補者の順位
表2 最終候補者の得点順位(赤色が最終候補者 濃い赤は継続受講生+最終候補 緑は継続受講生)
表2に、最終候補者の年間順位を示す。色を付けた順位が最終候補者の順位で、濃い色は継続受講生(元第〇期生)である。
表を見ると、第1期はだいぶバラけているものの、第2期は上位 1位~6位、8位がそのまま最終候補者となっている。しかし第3期から徐々にばらけ始め、第4期は14位、17位、18位の受講生が最終候補者となっている、17~18位の順位ラインとなると、年間で梗概選出を1度も経験していないラインになる。最終実作は1位から18位まで、かなり評価が拮抗していたのではないだろうか。
(本当は、第3期の最終候補者に 23位の方がいるのだが、この方は聴講生からの途中参加で元 2期生だったこともあり、特殊な例として割愛させて頂いた。すみません)
史上初? 最終候補者が全員新入生
また表2を見ると、第2期と第3期の最終候補者には先期からの継続受講生がいるが、第4期にはおらず、全員が新人生だったことも特徴的である。SF講座が期を重ねるごとに、継続受講生は増えているにもかかわらず(緑色)、最終候補が新人のみとはわりと異例のことである。継続受講生も得点上位には入っているので、両者の実力の差が縮まってきている……と言えるかもしれない。
まとめ
だいぶ受講生の提出数が増えてきているが、講座のシステム自体(と講師の数)はあまり変わっていない。主任講師ががんばってすべての作品を見ているが、評価からこぼれ落ちている作品も増えているかもしれない。より多くの受講生を評価するには、受講生同士で講評するか、特別賞を増やしたりする等、なんらかの対策が必要かもしれない。(来期は受講生数そのものが減るかもしれないが)。
★元データ(得点)
https://school.genron.co.jp/works/sf/2016/scores/
https://school.genron.co.jp/works/sf/2017/scores/
https://school.genron.co.jp/works/sf/2018/scores/
https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/scores/
★ 最終候補者
https://school.genron.co.jp/works/sf/2016/subjects/11/
https://school.genron.co.jp/works/sf/2017/subjects/11/
https://school.genron.co.jp/works/sf/2018/subjects/11/
https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/subjects/11/
サムネ用
第4期 感想会をやったら全員強くなった。~最終結果とアンケート分析~
今期の感想会は計12回行った。
当初は講座を継続的に受講するために開催していたが、結果的に最終候補者が続出して、うれしいやら驚くやら。
今回はアンケート結果をまとめた。
最終作品と受講生一覧
最終選考の発表前、梗概選出数の分析はこちら
どんなことやってるの
だいたい月に一度、〆切(木曜日)の週末の土日祝いずれかで、有志で行っている感想会。会議室で、1作品30分の講評。はじめに作者から要望などをコメントして、あとは講評を言い合う。以前はフリートークをしていたが、いまはzoom形式で参加者がひとりずつ講評している。だいたい7時間くらいかかっている。今期は全12回。
出席回数のまとめ
表1 出席回数 (最終候補者、あと一歩の方)
表1に参加者と参加回数を示す。(どなたが実際に参加したかは、きちんと記録をとっていなかったので、1,2回の誤差はあるかもしれない)。結果的に多くの方が最終候補に入り、主任講師からの「最終候補まであと一歩」にも選出されたので、結果はかなり良い。もちろん、もともと実力が高い人、やる気がある人もおり、すべて感想会のおかげというつもりはない。
また最終候補以外の方も、講座初期に比べて格段にうまくなった方が多数いる。来期も受講を続ける方もおり、今後の糧にしてもらいたい。
では実際に、感想会のなにが効果的だったのか、ということで、アンケートを取った。
感想会で良かったこと~アンケート結果①~
下記にアンケート項目を記載する。募集期間は 8/7~8/14。回答数は12。実施はgoogleフォームの匿名アンケートで行った。
質問項目
① 講座の受講を続ける意欲が増えた
② 実作を書く意欲が増えた
③ 梗概の書き方について、他の受講生からもらう講評が参考になった
④ 実作の書き方について、他の受講生からもらう講評が参考になった
⑤ 他の受講生を作品を読むことで、勉強になった
⑥ 他の受講生の作品を講評することで、勉強になった⑦ 講座の梗概選出の役に立った
⑧ 講座の実作評価向上の役に立った
⑨ SFがどういうものか、勉強になった
⑩ 執筆の仕方、執筆環境について、勉強になった
⑪ SFの商業作品(小説、映画など)について、勉強になった
⑫ 他の受講生との交流が増えた
図1 アンケート結果①
そう思う5点~そう思わない1点で回答。有効回答数8の平均をとった。(聴講生の回答は保留とした)。縦軸は3点~5点としている。
特に得点が高いのは ⑫ 「受講生との交流が増えた」。講座のときは意外と交流する時間がなく、飲み会でも腹を割って話すことはあまりない。お互いの作品を読んで議論すれば、交流もしやすいのだと思われる。(飲み会で講評はやらないほうが良いと思うが)
他に、⑤「他の受講生の作品を読むことで勉強になった」⑥「作品を講評することで勉強になった」という意見も多い。感想会のメリットのひとつに、強制的に他作品を読むことがある。幅広いジャンルの作品が「SF」として受け入れられているので、参考になることも多い。
また、同じ受講生の作品を継続的に見ていると、「この人はとても上手くなったな」とか、「この人は得意なジャンルを見つけたな」などがわかり、刺激にもなる。
ほかは①「 講座の受講を続ける意欲が増えた」② 「実作を書く意欲が増えた」が高い。作品についていろいろ言われると、書く意欲がなくなる受講生もいるが、うまくモチベーションに変換しているようである。
意外だったのは、④「実作の書き方について、他の受講生からもらう講評が参考になった」の点数が高く、③「梗概の書き方について参考になった」の点数が比較的低いことである。感想会の参加者はわりと梗概選出もされているので、梗概の書き方もかなりレベルアップしているはずである。(前回の記事では、梗概の書き方には効果あり、実作の書き方には効果不明、という結論だった)。
これはアンケート回答の時期が最終候補発表の直後(8月)で、最後の梗概選出は2月で終わってしまっており、印象が薄れているのかもしれない。また終盤のみ参加された方は、梗概選出の時期が終わってしまっており、最終実作のブラッシュアップに役に立ったと感じている人が多いこともある。(また今期は、梗概選出されずに最終候補になった方もいる)。
正確には検定をしないといけないが、サンプル数も少ないので省略する。
感想会で大変なこと~アンケート結果②~
質問項目
① 他の受講生の作品を読むのが大変だった
② 他の受講生の作品を講評するのが大変だった
③ 感想会の時間が長くて大変だった
④ 他の受講生からの講評で、つらいと思ったことがある
⑤ 梗概や実作を書こうとしたとき、感想会の講評を思い出して妨げになったことがある
そう思う5点~そう思わない1点で回答、4,5点を「そう思う」、3点を「どちらとも」、1,2点を「そう思わない」でカウントし、集計した。回答数は 9件。
①「他の受講生の作品を読むのが大変だった」に多くの「そう思う」が回答されている。後半は実作が4作5作も提出されていたので、そのためと思われる。
③「感想会の時間が長くて大変だった」。開催するごとに8時間以上かかっているので、今後は再考の余地がある。作品講評は、なるべく多くの受講生に感想をもらったほうが、多様な感想(自分はこれが好きとか自分はよくわからなかったとか)につながると思っているので、いまは全員で行っている。が、講座終盤は参加者も講評に慣れてくるので、2グループくらいに分けるほうが現実的かもしれない。これにより①も解決すると思うが、当日に欠席が増えると人数が足らなくなる……。
意外にも、④「他の受講生からの講評で、つらいと思ったことがある 」がほとんどないことは驚いた。作品への指摘もかなり多かったと思うが、そのあとのフォロー(?)が良かったのかどうか、正直よくわからない。
アンケート自由回答
設問 「感想会でもらった印象的な講評、実際に実践したアドバイスなどがあれば、お書きください」の自由回答を示す。
「印象的な講評」自由回答
◆地の文に比べてセリフ部分が軽いというアドバイスを貰ったので、不要なセリフを減らすようにした。
◆最終実作のプロットに変更あり。
◆参考文献の教示(受講中は文献を開拓できないので、これは本当にありがたかった)
◆参考図書を教えていただけるのがとてもよかったです。
◆最終実作については、構成の見直し(採用するエピソードやその順序)、セリフなど参考になりました
幹事がアドバイスしたものもあり、意外だったので少しビビっている。
最終実作直前の感想会(6月)は、コロナで講座が延期になり、空白期間が生まれたときに、思いつきで実施した。正直、いつもはゲンロンが実施している原稿回収や〆切決めまで行わないといけなかったので大変だったが、好評だったようである。ズルいと言われるとそれまでだが、直前に原稿をいじるのも善し悪しなので、諸刃の剣ではある。
来期の開催
ほかにも、幹事の割り振り、来期は開催すべきかどうか、開催の時期など、色々な意見をいただいた。来期はとりあえず初回に開いておいて、後は5期生に運営をまかせるようにしたい。
サムネ用
第4期感想交換会 第10回
※画像はイメージ
日時:6/14(日)13:00 - 21:20 、〆切 6/9 (火)
場所: リモート開催
参加者:12名、(予定13名 聴講生2名 録音2名)
対象作品:梗概 3、実作9
・講座がのびのびになっているので、追加の開催。
・開催の連絡が5/12、開催日と原稿の提出〆切を決めたのは5月21日だが、このときはまだ講座の最終日程が公開されていなかった。結局、講座が 6/18 となったので、ちょうどよいところに〆切を決めたことになる。いい感じの日に決めたのに、誰も褒めてくれない。
・今回は開催だけでなく、〆切決定と原稿回収まで行った。さすがに厳しくなってきた。原稿にはフォーマットを作っておきたかったのだが、さっぱり余裕がなかった。
・提出物は、最終実作の修正梗概、途中までの実作など。実作が途中までとなると、やや指摘や文句が多くなりがちになる気がする。これから面白くなるのにな、というのがあまり通用しない。
途中の〆切を設けることに、メリットとデメリットがあると思うが、できればメリットに転がるようにしてもらいたい。ほかの生徒の作品を読んで原稿が間に合わなかった、というのはつらいので、共倒れにならないようにしたい。
少し前から、感想会はあと2、3回だから幹事がんばるか~と思っていたのだが、最後のほうになって初めてのzoom開催、コロナの延長でまさかの追加開催、もう一回遊べるドン、は予想していなかった。早めに分担すれば良かったと思う。
今回は原稿の調子も悪く、事務作業が山のように増えたので、かなりアレだった。後から振り返って「まあよし」としたい。
トロン
・1982年公開。最初にCGを本格的に使い始めた映画、らしい。
¥仮想世界に人間を送り込んだり、プログラムを擬人化したりと、野心的な世界。
人間を仮想世界に送り込む方法は……分子レベルで分解する。すぎょい。
・天才プログラマー・フリン vs マスター・コントロール・プログラム()MCP
・MCPはいろんなところにハッキングし、人間より賢く?なろうとしている
・しかし仮想世界の中にはすでにMCPによる社会が生まれていた。様々なプログラムがここに集められ、MCPの一部にされている。
・ユーザであるフリンが仮想世界のなかにダイヴ
・要するに、グリッドのイメージはこのときに既にできていた。
もっともっとアップデートする必要がある。
・途中から謎のレースゲームが始まる。(ルールがよくわからない)
・隔離区域から離脱する。・入出力タワー……。・仮想世界になぜかお水。ゴクゴク。
・ユーザもプログラムも、似た者同士。これもすでに書かれてある。
・ユーザを神格化している。
・2010年公開。前作より28年、待望の続編。前作の主人公の息子が登場。ファンならニヤリとする場面が多々。
同じオブジェクトなのに、28年間の技術力の差がすごい。(ヘンな鳥居みたいな乗り物とか)
・美女たちに指先光るナイフで脱がされる主人公。
・もっともっと実験的なことしよう。もっともっと。小説だから。
・同じ登場人物なら、俳優さんも同じ。吹き替えまで同じ……。
・「ヒントをやろう。武器じゃない」
・やっぱりあったバイクのレース対決。
・アイソー。新しい生命体。
・生物学とデジタルの融合。
「wi-fiってなんだ?」「デジタル相互接続」「85年に思いついてた」
・お約束の熱い展開。かつての仲間が敵に。そして思い出してまた味方に。
・ヒロインはいるのだが、意外とラブがない。
感想会の結果ふりかえり(第4期)
・去年から感想交換会をやっていたので、結果のまとめと振り返り。
5月現在、講座はラスト手前の第10回を予定しているところだが、コロナの影響で開催が延期になっているので、少し早いですが振り返り。本当は、最終実作の提出後に公開予定だったが、講座がのびのびになって幹事が忘れそうなので公開。最終実作の執筆に影響が出そうな方は、回れ右です。また個人名の言及はほとんど控えています。
過去の感想会
どんなことやってるの
だいたい月に一度、〆切(木曜日)の週末の土日祝いずれかで開催、1作品30分の講評会。はじめに作者から要望などをコメントして、あとはフリートーク。以前は読書会形式で参加者ひとりずつ講評していたが、参加者多数のため今はフリー。だいたい7時間くらいかかっている。前期も途中からスタート。
参加人数の推移
図1.縦軸が人数、横軸が第何回目か、赤色のバーは初参加者。正しくは参加表明した人数なので、欠席などあり実際に参加した人数はこれより 2,3名くらい少ない。たいてい最初の時期が多くて、後半になると忙しくなってきて減ってくる傾向にあるが、今期はあまり減っていない。人数全体は、前の期(平均9名?)と比べるとかなり増えた。聴講生の方が常に1,2名いたのもありがたい。
第9回はコロナの影響でリモートzoom開催。次に開催予定の第10回でドンと増えているが、コロナの影響もあってなかなか講座が開かれないので、唯一の懇親会的な役割になっているかもしれない。
赤色のバー、初参加の方が最後までちょこちょこいたというのはありがたい。1回参加してもらって特効薬みたいに上達してもらいたいが、なかなかそうもいかないというか、これまでの作品を全部読んで、「あなたはここを伸ばしなさい or 直しなさい」とアドバイスするのは、かなり骨が折れる。
また、途中初参加の方と常連の方の梗概を比べると、梗概のわかりやすさの点でだいぶ違っていたように思う。初参加の方は本当は歓迎しないといけないが、指摘が多めになってしまったかもしれない。ただ感想会常連の多くも、初回の方はかなりツッコミだらけだったと思うので、なんというか、申し訳ない。
結果①:梗概選出の回数
以下、感想会に3回以上参加された方を『感想会参加者』とする。理由としては、この会は作品講評が主なので、能力がちょっと上がったかな、と思えるのは、だいたい3回くらい参加してからのような気がする。もちろん、もともとかなり上手い人も参加しているので、この結果がすべて感想会のおかげと言うつもりはない。(第1回や第2回で選出された人は、あきらかに感想会の影響はほとんどない)。ニワトリと卵の話になるが、まあ参考程度に。
下記、いきなりロコツな比較になってしまうが、いろいろ表現を考えた結果、簡潔な記述を求めるとこうなってしまったので、ご容赦願いたい。
図2に梗概選出回数と人数をまとめた。右側のバーが感想会参加者(13 名)。赤色のバーが1回、濃い赤色が2回以上選出された受講生。第4期の講座生全体の人数を40人とした。(登録されているのは48名)。
梗概が1回でも選出された人数で見ると、年間で1回以上選出された講座生は全部で20名(赤色と濃い赤色)。選出作品は30作品。そのうち感想会参加者が半分の10名。2回以上選出となると、その半分の5名になる。(余談だが、3回梗概選出は全体で3人のみ)
絶対数で見ると、赤いバーは左右でほぼ同じだが、割合で見ると結構な数になる、と思う。選出された人数を、それぞれのバーの高さの人数で割った結果を選出率とすると、左側が37%、右側が77%となった。(2.08倍)。選出10名の中には元3期生が3人もいるが、それを除いてもそこそこな結果が出た。とりあえず感想会でボールを投げたらだいたい選出者にあたる。熱心な方々に集まってもらったということだろう。
(感想会の選出者 10名の内訳は、藍銅、遠野、揚羽、渡邊、安斉、稲田、武見、藤田、中野、黒田の10名)。
※追記 前期(3期)は、生徒数が48名(同じ)、選出作品が30作品、1回でも選出された人は16人だった。今期は多少、選出された人がばらけた模様。本当は、下記の得点で分散が見たいのだが、得点方法がまったく変わってしまったので比較ができない。
結果②:得点グラフの比較
次は得点での比較を行う。図3に得点TOP15をまとめた。右側のバーが感想会参加者(13 名)。赤いバーの下からTOP5、TOP10、TOP15までの人数を示している。第9回までの得点表を見ると、得点TOP10の中に感想会参加者が5名、TOP15までみると、参加者が 10人まで入る。ただ10人まで入るのだが、おそらく次の第10回の講座の加点で順位が入れ替わり、15位の受講生(幹事)が転落すると思われるので、グラフでは9人にしている。
図2と同じように、TOP15までの人数を、そのバーの高さで割った割合は、左側が22%、感想会参加者で69%になった。(3.13倍)。実は、得点が高い=梗概選出されている、と等しいので、結果は図2とほとんど同じなのだが、なかには梗概選出されても実作を提出できなかった場合がある(0点)ので、こちらのほうが左右で差が出ている。TOP15というのは、ほぼ梗概選出→実作提出した人数に近い。
図3を、縦軸の上限を100%にして割合にすると図4になる。
こちらの結果は、検定をしてもおそらく有意差が出る、と思う。(久しぶりに統計の本を引っ張り出したが、適当な例題が見つからなかった。z検定をしたら有意差はあったのだけど、おそらくt検定をしないといけない)。
結果③:実作と最終結果
梗概の結果はわかった。では実作は? というと、実作の上手さをうまく評価するのが難しかったので、比較はやめておいた。また実作は、もともとの実力が顕著に出るので、あまり感想会の影響があるとも思えない。得点TOP5の顔ぶれを見てもそう感じる。(試しに、毎回の講座の得点1位と2位をカウントしてみたが、カオスになった)。
またこのあと、最終実作にて最終候補者が選出され、年間優勝が決まるが、この結果にもあまり影響がないかもしれない。そもそも幹事がタイトルを取ったことがないのでそれ用のアドバイスが難しいし、うまい人は講座生より講師のアドバイスを聞いたほうが良いだろう。
考察
結果的に、梗概の選出に少しは役に立てたよう、である。(もともと上手い人が偶然集まっても同じ結果になるのだが、手ごたえとしては、3人くらいには実際に効果があったと感じている)。幹事としては、しんどいスケジュールのなかで毎月の土日をつぶしてもらっているので、選出されると少し安心する。ただ、かけた時間に対してリターンが釣り合っているかはわからないが。
ここで論文なら被験者にアンケートでも取って、自由記述の回答を紹介するのだが、当然そんなことはやってないので、以下は幹事の所感。
実際に幹事がどんな講評をやっていたのか、と考えると、以下 まず ① 梗概のストーリー・設定が理解できるか ② 設定・ストーリーから梗概選出の可能性がどのくらいか、どの程度掘り下げているか ③ 実際に実作にするときのポイント・類似作品等、を重点的に考えていた気がする。
実作については、思い返しても、梗概へのアドバイスは即効性があったと思うが、実作へのアドバイスは細かい指摘になりがちで、効き目が出てくるのは遠い将来という印象だった。もっと高い視点からのアドバイス(目標、弱点等)をするには、書く側も何回か続けて実作を提出しなければならない。また幹事のレベルがそこまでに達していないということもある。このあたりは今後の課題である。
(ただ、細かい文章の指摘(人称、視点、文法など)ができるのは感想会の特徴だとは思っている)
当初の目的
結果的にそこそこな効果が出たが、当初から数値目標を掲げていたわけはない。最初は、選出されなくてもいいから、講座に最後まで参加してもらうつもりで、継続性のために開催していた。もしかしたら効果があるかも、と実感したのは第6回か第7回で、初回に比べて劇的にうまくなった人が梗概選出されたときと、第8回の時点で、初回から参加している常連組がほぼ全員、梗概選出されたときだと思う。
あと第5回の感想会で、得点が入った実作(自主提出含む)がドンドン講評の場に出てきて、かなり驚いた記憶がある。出てくる作品が全部おもしろくて恐ろしかった。
デメリット
もちろん、講座のなかには人づき合いが苦手という方もいるし、感想をもらうのが苦手という方もいるので、今年はあまり、幹事から積極的な勧誘はしなかった。ただ幹事から見て、梗概選出されてない方の中で、感想会で鍛えたら選出されそうだなという人は何人かいた。けれど、こういう講座内でコミュニティをつくることはかなりデリケートな問題だと思っているので、あまり積極的な宣伝はしていない。(外から見たら鬱陶しかったかもしれないが)
また感想会の欠点もあって、まず時間がかなり犠牲になる。感想会自体の時間もそうだし、ほかの人の作品(10作品以上)も読まないといけない。また梗概に色々ツッコミが入るので、実作(特に自主提出)が書きにくくなる点もある。ツッコミが入ったら当然、梗概を見直さないといけないので、そのぶん書き始めるスタートが遅れるのである。スケジュールが厳しいこの講座では結構大きな欠点である。
また、こういう生徒同士のスクラムを組んで取り組むのはどうなの? と思わなくもないが、高得点者を見ると、感想会への参加不参加関係なく、もともと何かしらのコミュニティやサークルに入っていたり、友人知人に原稿を見てもらっている人が多いように思った。
幹事をすることについて
感想会自体のメリットはあると思うが、幹事をやるメリットはあまりない。次期に機会があるとしたら、幹事は持ち回りにしたほうが良いだろう。また現役受講生が幹事をするメリットもあまりなくて、作品の〆切と講座の内容を把握していることくらいか。また好き勝手に講評していると、自分も講評される側なので反撃をくらう。(実際に反撃をもらうわけではないが、講評中はつねに「指摘してるけど自分はそれができてるの?」がつきまとう)。逆に言うと、感想会で本当に好き勝手な講評はできないし、本当に読者の立場で講評することはまずできない。参加者がほとんど全員、書く側だからだ。その点はOBの方々のほうがメリットがある。
今回は幹事の余裕がなさすぎたので、プロデュース的な面は難しかった。HPを開設しても良かったし、もっと偉いゲスト講師を呼んでも良かっただろう。そのあたりは次期、幹事する方に(OBでも)期待する。
最後に、感想会は参加者がいないと成り立たないので、忙しい中でご参加くださった方々、活動をさせて頂いた講座の方々に感謝する。
以下、サムネ用。