まほうのことば

小説の新人賞などに応募しています。本の話や創作の反省。黒田なぎさ

第4期 感想会をやったら全員強くなった。~最終結果とアンケート分析~

 

今期の感想会は計12回行った。

当初は講座を継続的に受講するために開催していたが、結果的に最終候補者が続出して、うれしいやら驚くやら。

今回はアンケート結果をまとめた。

 

最終作品と受講生一覧

school.genron.co.jp

最終選考の発表前、梗概選出数の分析はこちら


 

 

 

どんなことやってるの

 だいたい月に一度、〆切(木曜日)の週末の土日祝いずれかで、有志で行っている感想会。会議室で、1作品30分の講評。はじめに作者から要望などをコメントして、あとは講評を言い合う。以前はフリートークをしていたが、いまはzoom形式で参加者がひとりずつ講評している。だいたい7時間くらいかかっている。今期は全12回。

 

 出席回数のまとめ

 

表1 出席回数 (最終候補者あと一歩の方

10~12 回 稲田、渡邉 、中野、黒田
7~8回 夢想、藤田
4~6回 藍銅、遠野、揚羽、安斉、よよ、高田
2~3回 榛見、宇部、今野武見、甘木、松山、藤琉、能仲

 

表1に参加者と参加回数を示す。(どなたが実際に参加したかは、きちんと記録をとっていなかったので、1,2回の誤差はあるかもしれない)。結果的に多くの方が最終候補に入り、主任講師からの「最終候補まであと一歩」にも選出されたので、結果はかなり良い。もちろん、もともと実力が高い人、やる気がある人もおり、すべて感想会のおかげというつもりはない。

また最終候補以外の方も、講座初期に比べて格段にうまくなった方が多数いる。来期も受講を続ける方もおり、今後の糧にしてもらいたい。

 

 では実際に、感想会のなにが効果的だったのか、ということで、アンケートを取った。

 

感想会で良かったこと~アンケート結果①~

 

 下記にアンケート項目を記載する。募集期間は 8/7~8/14。回答数は12。実施はgoogleフォームの匿名アンケートで行った。

 

質問項目

① 講座の受講を続ける意欲が増えた
② 実作を書く意欲が増えた
③ 梗概の書き方について、他の受講生からもらう講評が参考になった
④ 実作の書き方について、他の受講生からもらう講評が参考になった
⑤ 他の受講生を作品を読むことで、勉強になった
⑥ 他の受講生の作品を講評することで、勉強になった

⑦ 講座の梗概選出の役に立った
⑧ 講座の実作評価向上の役に立った
⑨ SFがどういうものか、勉強になった
⑩ 執筆の仕方、執筆環境について、勉強になった
⑪ SFの商業作品(小説、映画など)について、勉強になった
⑫ 他の受講生との交流が増えた

 

図1 アンケート結果①

 

 そう思う5点~そう思わない1点で回答。有効回答数8の平均をとった。(聴講生の回答は保留とした)。縦軸は3点~5点としている。

 特に得点が高いのは ⑫ 「受講生との交流が増えた」。講座のときは意外と交流する時間がなく、飲み会でも腹を割って話すことはあまりない。お互いの作品を読んで議論すれば、交流もしやすいのだと思われる。(飲み会で講評はやらないほうが良いと思うが)

他に、⑤「他の受講生の作品を読むことで勉強になった」⑥「作品を講評することで勉強になった」という意見も多い。感想会のメリットのひとつに、強制的に他作品を読むことがある。幅広いジャンルの作品が「SF」として受け入れられているので、参考になることも多い。
 また、同じ受講生の作品を継続的に見ていると、「この人はとても上手くなったな」とか、「この人は得意なジャンルを見つけたな」などがわかり、刺激にもなる。

 

ほかは①「 講座の受講を続ける意欲が増えた」② 「実作を書く意欲が増えた」が高い。作品についていろいろ言われると、書く意欲がなくなる受講生もいるが、うまくモチベーションに変換しているようである。

 

意外だったのは、④「実作の書き方について、他の受講生からもらう講評が参考になった」の点数が高く、③「梗概の書き方について参考になった」の点数が比較的低いことである。感想会の参加者はわりと梗概選出もされているので、梗概の書き方もかなりレベルアップしているはずである。(前回の記事では、梗概の書き方には効果あり、実作の書き方には効果不明、という結論だった)。

 これはアンケート回答の時期が最終候補発表の直後(8月)で、最後の梗概選出は2月で終わってしまっており、印象が薄れているのかもしれない。また終盤のみ参加された方は、梗概選出の時期が終わってしまっており、最終実作のブラッシュアップに役に立ったと感じている人が多いこともある。(また今期は、梗概選出されずに最終候補になった方もいる)。

 正確には検定をしないといけないが、サンプル数も少ないので省略する。

 

感想会で大変なこと~アンケート結果②~

 

質問項目

① 他の受講生の作品を読むのが大変だった
② 他の受講生の作品を講評するのが大変だった
③ 感想会の時間が長くて大変だった
④ 他の受講生からの講評で、つらいと思ったことがある
⑤ 梗概や実作を書こうとしたとき、感想会の講評を思い出して妨げになったことがある

 そう思う5点~そう思わない1点で回答、4,5点を「そう思う」、3点を「どちらとも」、1,2点を「そう思わない」でカウントし、集計した。回答数は 9件。

①「他の受講生の作品を読むのが大変だった」に多くの「そう思う」が回答されている。後半は実作が4作5作も提出されていたので、そのためと思われる。

③「感想会の時間が長くて大変だった」。開催するごとに8時間以上かかっているので、今後は再考の余地がある。作品講評は、なるべく多くの受講生に感想をもらったほうが、多様な感想(自分はこれが好きとか自分はよくわからなかったとか)につながると思っているので、いまは全員で行っている。が、講座終盤は参加者も講評に慣れてくるので、2グループくらいに分けるほうが現実的かもしれない。これにより①も解決すると思うが、当日に欠席が増えると人数が足らなくなる……。

 

意外にも、④「他の受講生からの講評で、つらいと思ったことがある 」がほとんどないことは驚いた。作品への指摘もかなり多かったと思うが、そのあとのフォロー(?)が良かったのかどうか、正直よくわからない。

 

 

アンケート自由回答

設問 「感想会でもらった印象的な講評、実際に実践したアドバイスなどがあれば、お書きください」の自由回答を示す。

 

「印象的な講評」自由回答

 

◆地の文に比べてセリフ部分が軽いというアドバイスを貰ったので、不要なセリフを減らすようにした。

◆最終実作のプロットに変更あり。

◆参考文献の教示(受講中は文献を開拓できないので、これは本当にありがたかった)

◆参考図書を教えていただけるのがとてもよかったです。

◆最終実作については、構成の見直し(採用するエピソードやその順序)、セリフなど参考になりました

 

 幹事がアドバイスしたものもあり、意外だったので少しビビっている。

最終実作直前の感想会(6月)は、コロナで講座が延期になり、空白期間が生まれたときに、思いつきで実施した。正直、いつもはゲンロンが実施している原稿回収や〆切決めまで行わないといけなかったので大変だったが、好評だったようである。ズルいと言われるとそれまでだが、直前に原稿をいじるのも善し悪しなので、諸刃の剣ではある。

 

来期の開催

 ほかにも、幹事の割り振り、来期は開催すべきかどうか、開催の時期など、色々な意見をいただいた。来期はとりあえず初回に開いておいて、後は5期生に運営をまかせるようにしたい。

 

 

サムネ用

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