まほうのことば

小説の新人賞などに応募しています。本の話や創作の反省。黒田なぎさ

第5回講義

・講義の日。

・梗概はけっこう自信があった。設定もできている。ストーリーもできている。おそらくお題にも沿っている。ひとつ不安なのが、多重人格設定がよくあるテーマということ。

・最初に名前が呼ばれた。この講義は評価の高い順に名前が呼ばれる。勝ち確だと思った。ハッピーうれしい神様ありがとうと思った。自分のやったことは間違っておらず、これで自信にもなるし、優勝争いにからめると思った。

・しかし、選出からは外れた。

 

 

・まあ荒れに荒れた。連日の残業続きもあって、体力が極端に低下していた。予想として、箸にも棒にもかからないことは覚悟していた。選出されることも覚悟していた。しかしこの、選ばれそうになってそうでないというのはまったく予想しておらず、精神がしんだ。

 

・おそらく荒れたのは、実作ではあまり力が発揮できないことの裏返しだと思う。自分の文体はそんなにカチカチのほうではないから。梗概の自信は少しずつ付きつつある。つぎは実作で。つまりこれは神様の、実作で自信をつけなさいとのお達し……きっとそう。

・将棋の羽生さんが昔、「1位を狙う人間だけが3位と4位になれる」と言っていた、というのは完全に嘘で、いま自分が考えた。つまり1位争いができるほどの力になってきた。勝ちが見えたから悔しい。そう。リアクションに困っている。完全な負けなら反省できるが、微妙な結果だからリアクションに困っている。落ち込んでいる暇があったら次の作品を書けというのは正論だが、そう簡単でもない。