まほうのことば

小説の新人賞などに応募しています。本の話や創作の反省。黒田なぎさ

攻殻機動隊小説アンソロジー

 

攻殻機動隊小説アンソロジー

攻殻機動隊小説アンソロジー

 

 

円城塔『Shadow.net』
 年刊SF傑作選で読み。やっぱりアンソロジーの中でも突出してSF感がはんぱない。すごい。

冲方丁『スプリンガー』
 わんことおじさん刑事の話。著者は『マルドゥック・スクランブル』の方。

秋田禎信『自問自答』
 少佐が撃たれ、生死不明の境に見た明晰夢のはなし。こういう感覚がない話を作るのはめちゃくちゃ難しい。『感覚がない』イメージをするのはとても難しい。『感覚がない』とばかり言うよりは、具体的なイメージに落とし込んだほうがいいかもしれない。著者は『魔術師オーフェン』の作者。

三雲岳斗『金目銀目』
 少佐の影を追う女性SPの話。著者は第5回電撃ゲーム小説大賞(いまの電撃大賞)銀賞でデビュー。日本SF新人賞、スニーカー大賞特別賞など。

朝霧カフカ『Soft and White』
 どこかでお名前を聞いたと思ったら、文豪ストレイドッグスの原作者。作品は読めなかった……。

知性化機械と少年 リライト

・講座の受講生の梗概を自分なりに書いてみました。(作者様確認済み)

・元となった梗概

 

どちらから読めばいいのかは……情報量は同じですが、やはり元の梗概から読んだほうがいいかも。

・元の梗概が少し読みにくく、アピール文にいっぱい面白そうなこと書いてるのにもったいないなぁ……と思うことがあり。素材はいっぱいあるので。

・人の梗概をリライトするの、作者さんにインタビューしないと色々わからないし、大幅にアレンジしても、別にその実作が書けるわけでもないので微妙な気が……。うまい人の梗概をリライトするのは勉強になるかもしれない。(元の梗概を何回も読み直さないといけないので)

 

★★★

 

 『こんにちは、シンイチ、それとヨシタカ。こちらは狭くて暗くてタイクツだ』
 大学院生の信一は、指導教員である金沢夫妻のもと、理想脳式のAI、グノーシスを研究していた。通常、人の脳を大型計算機上に再現する理想脳<グノーシス>は、他のコンピュータと比較して爆発的に計算が早いが、臨界点を超えたところで原因不明のうつ病を発症し、自ら機能停止を起こしてしまっていた。しかし、信一と金沢夫妻が管理しているグノーシスはちがった。グノーシスが人格をもち、通信機を通して人間と対話を行い、家族の一員としてコミュニケーションを図ることで、例外的に精神が安定していた。とくにこのグノーシスは信一と、夫妻の息子である小学生の義隆と仲が良く、よく3人で通信機を通してやりとりをしていた。グノーシスはセンターに安置された大型の計算機でありながら、家族の一員であった。

 幸せな生活が続いていたある日、金沢夫妻が何者かによって殺害されてしまう。現場には壊れたグノーシスの通信機が残されていた。グノーシス反対派による犯行と思われたが、犯人は見つからない。以降、息子の義隆はふさぎこみ、さらにグノーシスに依存するようになる。
 3年後、信一は研究者仲間の女性と結婚し、義隆を養子としてひきとることにする。喜ぶ義隆だったが、今度はその養母が何者かに暴行される。義隆は、その犯人が、両親を殺したグループと同一犯だと確信し、グノーシスの通信機を持って家出をする。数日後、グノーシス反対派の大量死亡事件のニュースが信一の耳に入る。

 幼い義隆が彼らを殺したのだろうか。いや、義隆はあのグノーシスによってそそのかされ、殺人に手を染めているのかもしれない。グノーシスはネットワークを通じて作業用機械を起動させることもできたが、それには人間の承認が必要だった。グノーシスが通信機を通じて義隆を誘い、反対派を消しているのではないか。不安に思った信一はグノーシスと通信を行う。グノーシスは、「自分の製作者や、義隆と信一の大切な人を奪った人間を殺す。義隆と信一を守るために、家族以外のすべての人間を殺して機械だけの世界にする」と告げる。グノーシスは復讐こそが、人間社会にとって合理的で必要なことだと考えていた。

 信一はグノーシスが置かれた研究棟へと向かう。グノーシスは様々な装置で抵抗するが、家族である信一を傷つけることはできない。最下階、大型計算機がずらりと並んだ部屋に、義隆もおり、家族であるグノーシスを守るために信一に抵抗する。グノーシスは最後の抵抗に冷却用の液体窒素を放出するが、信一はすんでのところでグノーシスの機能停止に成功する。液体窒素によって信一の体がボロボロになるなか、義隆の体からも金属の筐体が見え始める。じつは義隆こそがグノーシスの一部であり、義隆が外部情報をグノーシスに送っていたのだった。グノーシスは、人型アンドロイドとの対話を通じて精神を安定させていたのである。グノーシスの機能停止により、義隆の機能も同期によって停止する。信一を失いたくない義隆=グノーシスは、最後の力を振り絞り、信一の体を抱えて脱出する。義隆は、途中からグノーシスと自分の人格が離れていき、家族を守りたい衝動と理性がぶつかって苦しんでいたと言う。信一は機能停止していく義隆を抱きしめ、グノーシス研究の礎になることを誓う。

 (1200〜1400字程度)

 

グノーシスがどういうものかあまり想像できなかったので、キャラ化しました。最初からグノーシスを喋らせることで主役がパッとわからせるようにしました。また、グノーシスをキャラ化することによって、義隆=グノーシスであるのをバレないようにしていますし、グノーシスの家族っぽさも出てるかなーと思います。

※ 早苗と玲子はカットしてしまいましたが、家族愛を強調するために早苗はいていいかもしれません。実作では全員書いてよいと思いますが、梗概で冒頭から6人の登場人物が出てくるのは少し多いです。よほど特徴的なキャラでない限り、そもそも1200字で6人は多い気がします。

※端折ってしまいましたが、もう少し、義隆=グノーシスの伏線を梗概で書いたほうがいいかもしれません。途中の展開。

※梗概では義隆がちょくちょく家に帰ってくるのですが、(伏線にはなるかもしれませんが)、あまり緊張感が出ない気がしますし、義隆を助けるためにグノを止めにいく信一の動機も深まります。ただやはり、よほどすごいテクニックを使わない限り、途中で義隆=グノ説は見破られそうです。見破られても切なさと健気さで押し切ってよいかもしれません。

 

※テーマである『魂は計算機と体のどちらにあるのか』『制限された機械はどう行動するのか』をもっと書くためには、やはり最初から義隆=グノがわかっている時点で書いたほうがたくさん書ける気がします。(あるいは、そのプチ叙述トリックを冒頭につかって、物語のキャッチに使うとか)。自分もこのテーマが面白いと思っていますし、外部装置アンドロイドという設定も面白いのですが、いかんせん叙述トリックを入れてしまうと大半を隠さなければいけません。義隆=グノが判明した後に、書けることがいっぱいありそうです。(だんだん義隆とグノーシスの感覚が離れていったとか、途中から体と脳のズレがおかしくなってきたとか、家族と接する機会の多い義隆と、そうでないグノーシスの意識がずれていったとか)。

拘束下で書きなさい:梗概感想

・自分が原稿が出せなかったというのものあり、各梗概の感想などを書きました。とりあえず前半作品。(全部で31梗概……だと……)。

※ 追記しました。言及できていない作品もあるかもしれませんが、後に追記する予定、です。

 

 

※勝手な感想なので、こんなこと言ってるなぁという感じでお願いします。

※SF初心者。あまり良い悪いを言うのが恥ずかしいので半分妄想があります。

※作者名を見ないほうが書きやすかったので、伏せています。


①『そもそもなんとかして食っていかないといけないようなら、私などいないほうがいいのではないか。問題はいらないのが私のほうか、世界のほうかだ
 セリフは書かれてないですが、おそらく色々な「おばさん」が出てくるのでしょうね。それこそおじさんみたいなおばさんとか。(って大阪にいそうですが)。それこそ「ん? おばさんか?」という人まで。世紀末みたいなおばさんも出てきてほしい。そうしたら、それだけですごく意味のある話になりそうなので、説教的なオチにならなくてもいいかも。ただズレればズレるほど、「女性だけ集める必要があるのか。(男みたいなのもいるし)」→「べつに女性とか男性とかどうでもいいのでは?」という微妙なオチになりそうですが、そこは著者の何かしらの結論がありそうです。それこそ主人公が手術で失った生きる意味の再構築とか。

聖なる盾泣き笑い

 なかなかチャレンジングな制約です。たださすがに文と文と意味のつながりがなかなか理解しにくかったです。これは最初に制約(数字に関すること)をバラすのか、最後にバラしてもう一度最初から読ませるのかで変わってきそうです。最初にばらしてもいいんじゃないかなと思いますが。ただ『エレベータでひまつぶしに創作する』おもしろさ?はちょっとよくわからなかったです。もう50年くらい閉じ込められてて延々これやってる、とかなら面白そう。(また1階から話がスタートするのだろうか)。病院のベッドで寝てて時計だけ見てたらこんな感じですね。五感をふさがれて目しか使えないという。

猫の上手な狩り方
  純文学的な匂い。猫と飼い主の話だが、随所に親権やら再就職やら泥臭い話が出てきて、ストーリーに起伏が出るのがうまいです。(自分がやるとだいたいハプニングが起きなくて平坦に進む)。猫の視点を随所にいれるとあるが、猫がなにを考えているのかが気になります。つまり飼い主のことを考えているのか、目の前の餌のことしか考えてないのか。吾輩は猫である的な感じで、飼い主を見てるシーンがほしい。飼い主は慌ててるけど猫は全然違うように見てるねとか。弟の意識と猫の意識がまじってたりね。猫がふだん飼い主がいないときに何をやってるかも気になるけど、やっぱり人間をどう見えてるか気になる。

オペレーション・パトリオット

・最高におかしくてお腹が痛い。自分の中で最高。入りがバーズ大尉からスタートするのがいいですね。
 世にも奇妙な物語を思い出しますね。こういうメタ的な話だと、自分ではつい重く恐い展開を想像してしまうのですが、(ゲームの中のキャラが操作不明になったり、開発者がゲームの中に入ってしまったり、また全年齢向けゲームのお約束エフェクトが逆に残虐な印象を与えたり)、オチはどうなるのでしょうね。個人的にはハッピーエンドがいいですが、それだとカタルシスが少ない気がします。やはり大尉か田崎がひどい目にあってほしい。
・でも最初から最後までハッピーだらけもありかな。やろうとしてること、作戦はかなり残虐なのに、結果として死人ゼロ、血ゼロ、ゾンビもかわいいとか。そのズレがおもしろくなりそう。(最近『世にも〜』を見ていないですが、番組の後半によくあったアホ回みたいなやつ)

神々のライフスタイル
 どんどんハプニングが起きて解決しようとするのはすばらしい。『彼はずっと過去の自分を追いかけていたのだ』というのはどういうことだろう。ゲーム前の自分の人生とリンクしているということでしょうか。それだと面白そう。人生の失敗の分岐点をがんばって修正するとかね。(大体うまくいかないけれど)。3人それぞれのストーリーがあるのがいいが、本当にバラバラにゲームが終わってしまうとつらいので、なんとかお互いにリンクさせてほしい。ラスト、どうして過去の自分を育成させたらエンドになれるのかが少し不明。あまり意味のある工程には見えないです。(ガイドさんあまり何もやってなさそうな感じ)。たとえば自分の思い出したくない過去の失敗を受け入れたら生還OK、とかのほうが未来があるかもです。受け入れない人は永遠に出れない、のような。

未来の落とし物
・なかなか難しい制約。リアルタイムでやる割には、100年後の未来の話が入ってきて、少し思考の時間軸がずれそう。最初からタイムリミットを決めたほうがいいかもですね。つまり冒頭に結末を書いちゃって、「1時間前の場面」からスタートするとか。それかすごくわかりやすく、1時間ラジオ番組が流れているあいだに全部終わるとか。ベタだと爆弾があと1時間で爆発するとか。(むかし古畑でそういう話あったな……ラジオ生放送中に殺害して番組終了直後に逮捕する)。三谷幸喜氏が得意な、そういう演劇はだいたいひとつの場面(場所)でずっとやりますね。

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・プログラムを実行してみたらマジだった。ただ、『それがこの小説だ』→『(AがBとCを)書くとは』までの間が途切れてしまって、関連性があるように見えなかったのが残念。最初に読んで気がつくと面白そう。つまり冒頭の文にへんてこで奇抜なワードを使えばいいのかもしれない。そうすれば関数名の羅列でも面白くなりそうなのでは。どこかコンピュータさんも『おもしろい』と無理やり言わされてる感があるので、関数名の羅列をパッと見てもおもしろくなってほしい。

フォーチュン・フェイデッド
 人の夢の話はだいたいおもしろくない、というのが定番ですが、おそらく整合性?とか必然性を無視してるからなんでしょうね。けれど『夢っぽい』お話はおもしろいはずです。ゆめにっきとか。制約がきびしすぎてつらすぎますが。(おもしろい話を思いついても書いてはいけないのかしら……)。少し梗概が長く感じました。こういうのは詳細を書かずにどんどん変な展開したほうが夢っぽいと思うのですが、制約が厳しい。

 全然関係ないですが、夢の中で銃で撃たれたり、エッチな夢を見ていたら血圧や体温がドンと上がって目が覚めてしまう、というメカニズムは本当なのかしら。そちらのほうが動物の危機察知能力としては当然ですが。逆に夢の中でナイフを突き立てられてグリグリグリグリされてるのに全然夢から覚めない、というの怖くないですか。

すみれの天蓋
 おもしろそう。ルゥの視点から書くとあるが、難しそうです。個人的に読者の感情をドゥムたちに共感させたほうが面白いのではないかと思う。つまり『われわれ』とばかり言って、読者も『われわれ」を意識させたほうが面白いとか。ルゥの視点になるとマイノリティ排除になりそうだが、そこは書き手の見せどころ。
 ホラクラシー組織のことはよく知らないのですが、役割があるということなんだろうか。ドゥムを排除するべき役割。個人的に、そこらへんのパン屋のおばさんとかもガンガン攻撃してきて街全体が敵のほうが緊迫感あるのですが、おばさんはやっぱりパンしか焼かないのだろうか。それともおばさんもエージェントスミスのように変身してしまうのだろうか。ドゥムをスルーしちゃうのもおもしろそう。「われわれの役割はパンを焼くことだ」「きみたちを追うことではない」。(「あなた」を使わないならなんと言えばいいのだろう。『きみたち』はセーフ?)。ドゥムが生まれたことで、初めてルゥたちに「自分たち以外」の存在が出てきたわけですね。
 ルゥもドゥムもいっぱい悩んだりしてほしいですね。ドゥムのなかにも裏切ったりする人も出てきてほしい。「『わたし』とはなんだ?」「われわれ個人をさす言葉だ」「理解できない」。

意見交換会で、ルゥはまったく話さないことがわかりました。この話は「すごくシビアな『はたらく細胞』」。ルゥは街と一体であり、地面から生えてくる植物みたいなもの(?)。ルゥがドゥムを襲うのは、精子の競争みたいなもの。つまり精子である。

赤と青と夜と博士
 おもしろそう。本当にショートショートみたいで、空から原子炉のカスが降ってきそう(星新一感)。というのは冗談ですが、夜ばかり行動するようになって平和になったというのがおもしろい。ただ博士が、メンタルとフィジカルどちらが勝つかというのを知りたいのに、初めに赤と青の微生物をつくるのは回りくどすぎる感もあります。ここらあたりの動機は思いつきませんね。ただ戦争が激しくなって、今度は緑の微生物で大儲けするか、くらいの欲はあっていいかも。
 あと目の病気が治った後に、人類は夜に活動し続けるのか、という疑問もあります。そこらへんはうまく切り抜けてほしいです。

ピキューンとドカーン

 この話で、一体何回『ピキューン』と『ドカーン』が出てくるのかしらん。読むのが大変そうなのでもう少しスマートな名前にしてほしいですが、インパクトは減りそうです。どのキャラの一人称で書くのかわかりませんが、このまま三人称でもいい気がしますね。つまりセリフがとてもおかしいので、地の文は固いほうがいいんじゃないかなと。
 展開はどうなるかわかりませんが……ふたりが話す擬音語が、何かのキーになって役に立つといいんですが。人間にとっては意味不明だけど、なぜか彼らは動物とは話せる、とか。
渡り廊下は、走らない
 こういうルールのあるゲームを考えると、つい怖くて重い展開を考えてしまいますね(3回目)。(今回テーマが『制約』のためかゲーム作品が多い。)「願い」は存じてないのですが、子どもの恐怖がもっとあってほしいですね。ただ子どもの恐怖は現実世界に対してが多くて、あの林の奥に行ったらどこかにワープしてヤバイとか、あの図書館の地下に行ったらアリの巣みたいに地下帝国があるんだろうとか、現実の方向に行っちゃいそうで。子どもが創造してつくるこの世界には合わないような気がしますね。赤い廊下をふんだらヤバイとかは、ゲームにスリリング性をもたせるためのルールで、本気で死ぬとかはないでしょうね。(本気で恐いことを子どもはゲームに実装しない)。ただそういう、都合のいいとこだけ考えて、そのさき考えてないというのは怖そう。たとえばマリオは落ちたらゲームでは『1アウト』ですが、その先って考えてないですよね。落ちたら地獄のマグマに落ちるとかチラっとでも考えるかもしれませんが。

知性化機械と少年

 AIの反乱、ということでいいのでしょうか。いきなり登場人物が6人くらいでてきて、私の頭がパンクしそう。梗概全体がすこし読みにくい。アピール文でもう1回ストーリーを語り直していますが、アピール文を読んだほうが感動します。制約が『思う』『考える』使うの禁止、とありますが、この話のテーマ自体が復讐とか家族愛とか感情的な話なので、それらを使わないとなると、映画脚本のト書きのようになってしまって、結構まずいのでは、と少し心配しています。
意見交換会で、1200字におさめるのに苦労してそうです。そういえば『おむかえの距離』でも2000文字超えてたね……。おさめる話はまた追記します。
 あと『○○くんが実は○○だった』というのは、梗概で必ずこの文そのものを書かないといけないと思います。(私が見落としてなければ……)。実作ではほのめかすでもいいのですが、梗概ではオチとかおもしろいキモを書いたほうが良いと思います。
→ ※追記 書きました。 

⑲ 10文字以内で述べなさい。(ただし、句読点は含みません)

 最初はありきたりな制約かと思いましたが、5文字以内派が出てきたところで腹筋が壊れ、100文字以上派で笑いました。お腹痛い。実作ではどんどん改行しなくて良い気がしますね、10文字くらいで普通に小説が書けそうです。セリフが入るともっとおかしくなりそう。100文字以上派が早く死なないと厳しそうですが、1文の中でとんとん展開していけば大丈夫……でしょうか。ラストに、自由に会話できることに喜びを感じる展開がいいのだけど、最後まで制約を守るのかしら。恵が告白のために「自由文字数党」になってほしい。
意見交換会で、文字制限を行う理由、5文字以内で表現する方法が色々と出ました。確かに今回のテーマで『制約』が生かされているプロットですね。やはり恵は自由文字数党の党首になるしかない。スローガンは「愛の告白くらい、好きに言わせろ!」。支持率すごそう。ギャグでもすこし感動するラストになりそう。

 

~~後半

 

キュアマン
 タイムトラベルもの。回想シーンが多いと実はダレてくるのですが、(結果と未来がすでにわかっているのでハラハラ感がない)、今回は未来もガンガン変わる、のでしょうか。というか、これは回想シーンと言えるのだろうか……。(たとえば現実がもっとおかしい現実で、「なぜそうなったのか?」の謎を探るために過去に行く、とかならもっと面白い気がします。バック・トゥ・ザ・フューチャーとかも、時間制限をつけたりしてハラハラ感を演出している)。またたいていは過去の自分に伝言しても、失敗するのがお約束なのですが。とにかく全編回想で、どこまでダレずに書けるかが難しそうです。梗概はもっと短く書けるはず。

醜くはないアヒルの子
 なんと厳しい制約。ほとんどがタイトル?ということでしょうか。そしてタイトルがわかったのが、『トータル・リコール』だけという、私のSF知識の浅さ。(ひどい。これも一般名詞だと思っていた)。詳しい人は途中でわかるのかな。この感覚、何かに似ていると思ったら、『サッカー用語だらけの桃太郎 』でした。SF用語だらけの桃太郎。商業作品でありそう。

吾輩は鬼である
 桃太郎の話をしていたらくしゃみ先生が現れました。とても懐かしくて笑いました。女子高生がいいですね。『人間と生れたら女子高生となるに限る』。女子高生がダラけているほど、くしゃみ先生がいかにダラけていたのか思い出して笑ってしまう。超いい加減な迷亭先生も、まじめな寒月先生も大好きなので、ぜひ女子高生で登場させてほしいです。あと鬼の何かしら考えさせるオチがあれば最高です。おい諸君、黙るんだとさ、シーシー。
吾輩は猫である青空文庫)』全文はこちら

フレッシュ
 なかなか難しい制約。セリフのみの小説は読んだことないのですが、ヒントはありそうですね。誰が喋っているか、どういう動作をしながら話しているか、どこにいるのか、ダンボールの中にいるのか、遠くにいるのか、(「雑巾絞りみたいに、体をひねるように打つんだ。やってみ。ボールをよく見て、ひきつけて、わきをしめて、ほらできた。」)。(どこにいるんだ? お前の声が遠くに聞こえるぞ。この壁の向こうか?)、いろいろセリフだけで表現の挑戦ができそうですが、仮想世界だとかなり制限されそうです。サイバースペースだとあまり周りになにもなさそうですが……。むしろデータのやりとりだけだと考えたらいい場所、なのかな? でもセリフにする意味は難しそうですね。

Ctrl+Z
 ショートショートのような感じですね。SSの場合、この情緒禁止の制約はわりと普通な感じもしますが、展開でいかにおもしろく見せるか。実験のような感じですが、使えなくなるものが増えても、では100年前の生活に戻るかというと、そうではない気がしますね。なにか工夫して、元通りの生活を取り戻そうとする気がします。そうすると別の発明が生まれて、全く違う方向に進歩していくのかも。で「神様」はそれを狙ってたのかも。
 関係ないですが震災がつづき、自分は震災ネタをすこし考えていました。特に北海道地震での停電。あんなに長く停電が続いたのは珍しいそう。ラジオや電池が大活躍しました。元電気情報学科?の学生として、もうちょい電気を勉強しとくんだった。

テホムを征く者たち
 私にとっては難しかった……。梗概というより、実作に近い視点での描写なので、展開がいまいちわからなかったです。制約の音声認識については、小野先生に聞いたほうがいいかも。あの方ほとんど音声入力で書いてるようなので。ただすごく冗長になりそうだしスリムカットが大変そう。

囀り
 カタカナのありがたさがわかる。『10文字以内で~』のときにも出てきましたが、カタカナが使えない理由をもっと明確にしたほうがいいかもしれないです。(こういう話は最後に制約を壊すラストになると思うので、設定を避けて通れない)。ネットワーク上でカタカナを使うとAIが混乱して謎の言語を吐き出し始めるとか(文字化けだ……)。それこそ戦時中は敵性語(米英語がだめ)があったようですし。カタカナに漢字をあてはめるのはいいですが、ぱっと見てなんとなく意味がわかる漢字に直してほしい。作者的には超めんどくさいですが。共通語つくるのはとても難しそうです。翻訳はその国の文化背景、民族性、歴史もろもろ全部知らないと厳しい。

 関係ないですが、全部漢字で書くというのもできそうですね。自分は第2外国語が中国語だったのですが、エセ中国語を作るというの。何言ってるかわからないけどなんとなく意味が分かる。セリフだけでも作れそう。

隧道の陰に
 難しい制約。触覚だけで対話するの、乙一先生の『失はれる物語』を思い出しますね。面白い話を持続させるのが難しそう。さすがにアユイの五感を制限しすぎのような気がしますが。(発狂しそう)。痛覚がなかったのに、山に触れると触覚が復活する?というのは少しよくわからない。
 盲ろう者福島智先生が指点字で対話をしていましたが、指に触れられるだけでも、その触り方で、性別年齢は当然として、『相手が怒ってるのかな』とか『過去にこんな仕事した人かも』とか『国籍と宗教はこれかも』とか、いろいろなことがわかりそうな気がしますね。もちろん自然を触ってもいろいろわかると思いますが、アユイがもともと何もわかってなさすぎて、大幅に書きにくくなるのではないかと少し心配です。

自己をめぐる嗣焼つぐやき梨子りこの奔走
 むかし考えたことがありますが、もし自分の過去の情報を消したくなったらどうすればいいんだろう、拡散してしまった情報は消せないっすよ、と考えていました。情報を消すにはメモリ(脳)を破壊するかその人を殺すか出力を塞ぐしかない、

 ラストはどうなるのでしょうね。おもしろそうですが、制限拘束が制限になっているかどうかわからないので、制限で苦しんだ人に怒られそう。

アルデバランの夜
 おもしろい。まじめなのかギャグなのかわからないフラフラ。感情や気持ちを書かない制限も、スピーディで突飛な展開と合っているかもしれません。ただ、ほかにもこの制限をした方がいましたが、愛とか恋とかのメインスト―リーはどうやって書くのでしょう。主人公のけっこうおバカな設定がおもしろいと思うのですが、どうやって書くのかなぁ。
 これは梗概の書き方の話ですが、父親や家庭がストーリーのキーになる場合は、この設定も梗概のはじめに書いたほうがいいです。途中から出すとすごく後出し感というか、とってつけた感があります。『大企業の御曹司である天馬スバルと、ごく普通の女子高生の薫は~』くらい。薫は女子高生なのかわかりませんが。4次元人をよく知らないのですが、厳しすぎる親父に嫌気がさして4次元でフラフラしてるという設定もあっていい。あと世襲制が一般的という設定もちょっとよくわからない。単純に、『薫を人間狩りリストから外すことを条件に、家業を継ぐ』だけでいいのでは。そちらのほうがドラマチックですよね。
 ただ、4次元旅行という話と、家業を継ぐ?という古い話が微妙にミスマッチのような気がします。天馬がいろいろ頑張りそうなのに、結局家の力で解決するんかいみたいな。単純に、天馬の能力を欲しがった悪徳業者?が、天馬を仲間に引き入れるために交換条件を出してくるでもいい気がします。それでもちろん、天馬は条件無視して、薫を助けながら悪徳業者も壊してしまうの。(その困難を乗り越える上で、犬猿の仲だった親父に頭を下げて協力してもらうでもいい)。でも最後は事情があって薫に合えない、のような。困難の達成条件が、『家業を継ぐ』というのが微妙にカタルシスがないのかもしれません。
(私が考えるとなんでもこういう話になって、どんどん『気持ちを書かない』制約がむずかしくなりそう)

プロジェクト・メビウス
 SF的な話はよく知らないのですが、これタイムリープ(跳躍)じゃなくてタイムループ(輪)なんかな、と少し思いました。自分が設定に惹かれるタイプでないのであれですが、ループしてる意味があるといいですね。たとえばその10年間(もしくは小学生時代)がすごく楽しかったのでループさせるようにしたとか。1日のループで、死ぬほどつらいことがある日をループさせられたらつらいですよね。菅くんにとってはこの10数年間が楽しかったのか辛かったのかわかりませんが、なぜ小学生時代に戻ったのが気になります。時間に合わせて記憶を調整するとありますが、では「おかえり、待ってたよ」はどういうセリフなのでしょう。
 本当にずっとえんえん同じ時間をループしてるのは面白くないので、何かしら変化が欲しい。(言っていることが矛盾してますが)。それか、冒頭にもっといっぱい伏線を貼って、ラストに「そういうことか」と思わせる。

ドーリィガールズ・ダイアローグ 
 アンドロイドをリモートで動かせる時代。映画『サロゲート』を思い出しますね。どういう操作でリモートするのかが気になります。五感を完全にリンクさせるタイプか、それ以外か。また、障碍者サポート用のロボットがどういうものか知りたいです。ロボットが普通のロボットなら、操作している人が障碍者でも健常者でもあまり変わらない気がしますが……。別に障碍者じゃなくても、アンドロイドのアイドルは普通に生まれそうですよね。(バーチャルアイドルのような)。アンドロイドのアイドルと障碍者サポートロボットの違いを知りたいです。

 義体の向こうにそういう人がいる、というのがアイドルの売りなのだろうか。でもロボットと操作者の名前も違うし、ファンはロボットとその向こうの障碍者、どちらのファンになるのでしょう。(アイドルをよく知らないですが)
 難しいかもしれませんが、主人公の香菜がWGCのメンバーであるver も見たいかなと思いました。香菜は観察者のような立ち位置かもしれませんが、『WGCじゃないアイドル』という微妙な立ち位置だと、あまりドラマが生まれにくい気がします。(もちろん健常者と障碍者の摩擦、売れてるWGCと売れてないアイドルの摩擦、にもドラマがあるかもしれませんが)。ラストもモモが決心して終わってしまうので、香菜になにか変化があるほうが良い。それこそ毎日みんな事務所に出勤してるわけではなく、メンバーそれぞれ違う背景があるはずなので、イヤイヤ仕方なくやってる子、女の子じゃない子もいるかもしれない。障碍者にも重度もいれば軽度もいて、いまの朝ドラじゃないですが、片耳難聴だけでもタイプやパターンが多くあるようです。(へたするとWGCメンバーの香菜は障碍者を装った健常者だった、でもいい。怖いけどラストで改心しそう)。香菜は軽度の障碍者で、いろいろ自信が持てなかったけど持てるようになった、とかでもいい。
 ラスト、リルカロボットは操作者なしでずっと動いていたということになるんでしょうか。魂が宿ったから? ということなんですかね。そこら辺が少しよくわかりませんでした。

場面設定類語辞典

 

場面設定類語辞典

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  • 作者: アンジェラ・アッカーマン,ベッカ・パグリッシ,小山健,滝本杏奈
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2017/04/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログ (2件) を見る
 

 ・感情的なつながりを生み出す設定。ホグワーツ。登場人物と一緒になって人生を体験する。

・葛藤を生み出す設定。物理的な障害。トールキンの作品。滅びの山、赤角山、次にどの進路を取るか。

・つらい過去を反映するもの。ランボー

・家庭崩壊という設定。

・雰囲気と天気。

ストーリー構成法

 ・おもにライトノベル向け

実践!ストーリー構成法 (ライトノベル作家になるシリーズ)

実践!ストーリー構成法 (ライトノベル作家になるシリーズ)

 

 ・「オチもの」:主人公の前に特殊な背景を備えた女の子が出現する。

→ 同種のキャラクターをもうひとり配置して、三角関係にする。

・キャラ見せ? → 男装プラス魔法少女→早めにだしておく。バトルシーンからスタートしても良い。

・コミカルとシリアス。どちらかに振り切らないといけないわけではなく、コミカルからシリアス、コミカルからシリアスに行くと見せかけてずっとコミカル、コミカルとシリアスの行ったり来たり。

・やりすぎるくらいのキャラの4人。

・「力を制限されている主人公」? 

・バトルはハッタリが命。どれだけ設定に来れるか、どれだけハッタリを効かせられるか、能力にどんな理由付けがある。

・青春・恋愛者はキャラで攻める。ファンタジーに負けないくらい強烈な個性のキャラを出すこと。大げさに見せる。もっともっと大げさに見せる?

・バディもの。どちらかが真面目でふつうでなければいけないというわけではない。どちらも変、フラフラのバランスでいい

・ノリや勢いでごまかすことも大事。こまかいことは気にしないこと

・ミステリーにファンタジーを加えると、一気に崩壊しやすいが、楽しい

・ぐいぐいひっぱっていくバカ。

猫SFアンソロ

 

 猫ほど素敵なエイリアンはいない

マシュマロを焼き、人間の言葉を話し、宇宙で猫パンチを放つ――
奇妙で可愛い猫たちの物語

文庫初収録3匹、本邦初訳4匹!


愛すべき個性豊かな10匹の猫たちが宇宙狭しと跳び回る。
アンソロジストがすべての猫好きとSFファンに贈る、猫SFアンソロジーの決定版!
地上でも宇宙でも、猫はやっぱり猫なのだ。

 ・なんだこの幸せなアンソロジー

・『パフ』

・哺乳類は幼少期にとんでもなく学習する。ならばと飼い猫の成長を子猫のままで止め、超天才猫をつくったが、その猫が自分でマシュマロまで焼き始めた話。最終的には野犬に復讐して――。最後は家族ですこしのホラーエンド。

・『ピネロピへのおくりもの』

 おそらく宇宙人がおばあさんのところに世話になる話。いろいろ素敵。

・『宇宙に猫パンチ』

 原題は「Well Worth the Money」(乗せる価値は十分にあり)。ある宇宙への重大任務で、宇宙船にクルー3人と猫を乗せる事になる。宇宙船のAIはとても頭が良くて、途中から猫までクルーと認識し始める。(最初は『猫』が登録されてなくてさっぱりわからなかったが、途中で猫をクルーと認識し、保険や給料まで適用し始める)ホラーになるのかと思ったが、最後は宇宙人に襲われて大ピンチ、そこで猫が宇宙人と戦いだして勝ってしまうハッピーエンド。

自生の夢・ポリフォニックイリュージョン

 ・ヨンダ、ヨンデナイ

ポリフォニック・イリュージョン

ポリフォニック・イリュージョン

 

 ・飛浩隆(とび・ひろたか)先生の初期作品集、と自作解説、と批評。それこそ何十年も前のデビュー作からとんとんと。言うのも変だが成長というか軌跡を感じられる。ご本人も「これはノンフィクション」と仰っていたように、

・著者は21歳のとき『ポリフォニック――』でデビュー。作家歴30年以上。『象られた力』で星雲賞日本SF大賞を受賞。『自生の夢』で第41回星雲賞日本SF大賞を受賞。島根県で今も書いておられる兼業作家。

・作品についてはまた追記

 

 

自生の夢

自生の夢

 

 ・日本SF大賞星雲賞を取られたもの。

73人を言葉の力で死に追いやった稀代の殺人者が、怪物〈忌字禍(イマジカ)〉を滅ぼすために、いま召還される───

 ・「匂いがしないな」「こうして来客があれば、上の世界が良い天気か雨か、匂いでわかる」

・人間がフリーズする。使い慣れない単語を話そうとして記憶を探ったのだが、その過程の重要な部分を、イマジカは破壊した。個性、彼女が13年かけて構築したウォンという設定が壊れたために、参照を実行できなくなっていた。

・言葉だけで相手を自殺に追い込める天才。

・「私は本をほとんど読まない。中学でちょうど700冊読んだが、それでもう十分だ。読書なんてただの基礎トレーニングだ」

・書きもののいっさいがっさいを飲み込んでいく

・電子化によって、これまで一度も参照されなかった文書が、参照されるようになった。図書館にしまってあるかぎり、書かれたものは、ただの紙とインクである。開かない限りそこでずっとおとなしくしている。

・企業体としてのGobelはとっくに精算されていて、多くの民間非営利団体が共同管理しています。