まほうのことば

小説の新人賞などに応募しています。本の話や創作の反省。黒田なぎさ

フォマルハウト

フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉

フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉

 

・著者は星雲賞、SF大賞を何度もとった神林長平氏。 

フォマルハウトの燭台に3つ火がともると、世界が終わるという。その燭台を手に入れた中年の男、林蔵がAIに関する事件に遭遇。燭台に火を灯すと不思議なことが起こり、事件は解決するが、やがて燭台に3つ目の火を灯して……。

 

★『1章:兎に角(うさぎにつの)』:林蔵の友人がもつ、AIつきのトースターが自殺した。林蔵が話を聞いていると、ツノを持った兎ジャカロップが燭台を持って現れる。林蔵が燭台に火を灯すと、トースター自殺の真実が明かされる。

 

★『2章:モデル♯9ケース』:林蔵の友人の獣医師が裁判員を務める事件。横領事件の犯人は『自分を殺した』と供述する。その被害者は林蔵の隣人だった。

★『3章:彼の燭台』:実家から山の寺へ追い出された林蔵。気がつくとヒューマノイドロボットが寺に住み着き、林蔵に給料を要求する。困った林蔵は、ついにフォマルハウトの燭台の3つ目に火を灯す。すると世界から夜はなくなり、時間がめちゃくちゃになって……林蔵は元凶を見つけるために乗り出す。

 

 

・おじさんがいっぱい出てくる、このおじさんが好きになれるかどうかで評価が変わる。林蔵おじさんはつるつる(?)の読書好きのおじさん。獣医師の伊能おじさんは超常現象はかなり苦手。

・最初は読むのがしんどくて、途中もダレてしまったが、最後のどとーの勢い。そしてきっと2回目読み始めると景色が変わる。(最初らへんの伏線が回収される)。今回のテーマが『意識』や『視点』で、視点がぽんぽこ変わっているからというのもある。

意識にわかるのは、自分は自分だ、ということだけだ。特定のだれなのか、というのはわからない。