まほうのことば

小説の新人賞などに応募しています。本の話や創作の反省。黒田なぎさ

あなたのための物語

 

あなたのための物語

あなたのための物語

 

 西暦2083年。人工神経制御言語・ITPの開発者サマンサは、ITPテキストで記述される仮想人格《wanna be》に小説の執筆をさせることによって、使用者が創造性を兼ね備えるという証明を試みていた。

 

そんな矢先、サマンサの余命が半年であることが判明。彼女は残された日々を、ITP商品化の障壁である“感覚の平板化”の解決に捧げようとする。いっぽう《wanna be》は徐々に、彼女のための物語を語りはじめるが……。

第30回(2009年)日本SF大賞候補。このときの大賞は伊藤計劃氏 『ハーモニー』。ひえ。

 

めちゃめちゃ寝不足のときに読んだからかもしれないが、感情が激しく上下してつらかった。

 

・ド研究者である34歳のサマンサは、仕事バリバリで脂がのっている最中に、余命半年を告げられる。本作の冒頭にいきなりサマンサの死亡シーンがある。(最初はよくわからなかったが)。てっきり彼女は中盤で亡くなって、AIが残される展開かと思ったが、最後までサマンサの死期直前を書いている。

 

・とにかくサマンサがワーカーホリックで、孤独だった。病気宣告されても仕事ばかりで、作中はほとんど家と企業の研究室の往復しかしていない。友達にお別れするシーンもほとんどなく、ベッドに寝たきりにもならない。それでずっと持たせてるのがすごかった。サマンサがずっと「ITP言語でなにができるか?」を追求しまくっており、自分やwanna be を実験台に色々な試みをしていく。

 

・全体の3分の1のところで、すでに完結しても良いくらい感情が上下していた。

・自分も不眠とお腹の調子がきびしいので、きびしかった。

 

・あとで追記