まほうのことば

小説の新人賞などに応募しています。本の話や創作の反省。黒田なぎさ

グラン・ヴァカンス

 

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

 

 ・作品で『似てる』と言われた先行作品。

1992年の「デュオ」を最後に2002年まで作品の発表が途絶える。

2000年から2002年にかけて、既発表の全作品をまとめた『神魂別冊 飛浩隆作品集』(全3巻)がファンにより出版される(私家版)[2]。2002年9月、〈廃園の天使〉シリーズ第1作の『グラン・ヴァカンス 廃園の天使I』がハヤカワSFシリーズ Jコレクションから刊行。

『ラギッド・ガール 廃園の天使II』で第6回センス・オブ・ジェンダー賞を受賞。

 wikiから。10年ぶりの作品とのこと。

ネットワークのどこかに存在する、仮想リゾート<数値海岸>の一区画<夏の区界>。人間の訪問が途絶えてから1000年ものあいだ、取り残されたAIたちが、同じ夏の一日を繰り返していた。謎のプログラム<蜘蛛>の大群が、街のすべてを無化し始めてーー

 

・設定がまんまやないか。と思った。

サイバースペースの書き方がかっこいい。参考になる。ただ第2章に入らないとよくわからないので、あらすじを先に読むといいかもしれない。
・よく出てくる性的な描写。ここがリゾートで、相手がAIだから、人間は何をやってもよいというのは、確かに理にかなっている。AIたちがそれぞれのロールを演じている。ここがある意味サイバースペースだということを忘れさせる?演出。

・女性作家の書き方と、男性作家の書き方のちがいを知りたい。女性作家のようにエロいことが書きたい。それは傲慢なのかもしれない。傲慢。何がいけないのかはわからない。島本先生の『Red』を読むしか。

・バケツいっぱいの精液

・思い出とは何か。記憶とは何か。多くの過去の記憶が、設定である。(第三章開始)

・蜘蛛は単純なコマンドを実行しているだけ。p80

・ジュリーはほかのAIに興味を持つように設定され、ゲストの興味を引く。

・イヴの身体性。ふつうのAIならば、この光景の中で自分の官能をアイデンティファイできず、ばらばらの感覚の断片になって変容しつくされてしまうに違いない。

・マリアは名づけられて、じぶんの輪郭がくっきりと確定された気がした。

・AIキャラでありながら、人事管理システムでもあり、サービス指標をオプティマイズ(調整)する役。

・三姉妹の役は、『AIのアイデンティティ核のエラー修復』

 

・どうせAIだから、死んでもいい、と思うだろうか。ただ、関係性が壊れるときはやはり悲しいし、いいキャラだなと思ったやつが死ぬとやはり嫌だ。完全に消滅すること。代用不要であること。

・ゲストがAIにひどいことをする、というのと、この世界のイメージが合っていないような気がする。どうしてかしら。単に自分が苦手なだけかもしれない。
 ゲストがひどいことをする、というのをAIたちが知っているのに、皆が平気な顔をしているのが変なのかも。(ホテルの支配人みたいな人はきつかったそうだが)。まあゲストがやることにいちいち悲観的になっていたらサービスとして成り立たない気がするが。1000年以上前のことだし。

 

 

 

★使えそうなアイデア

・最終的に、主人公がなにかの役割を担っていた装置だった、というのは良いかも。つまり役者でありながら調整者でもあった。人間にはできないこと。

・環境を自由自在にドカンと変えること。サイバースペースならではのやりかた。