玩具修理者 小林泰三
・『アリス殺し』の小林泰三先生のデビュー作?
・『玩具修理者』で95年の第2回ホラー小説大賞短編部門を受賞。『パラサイト・イヴ』と同時受賞。
・『玩具修理者』
・ようぐそうとほうとふ。という玩具修理者。おもちゃならなんでも直す男?。直し方は、そのおもちゃを細かくバラバラにして、くっつけるというもの。ある日、主人公が少女の頃、階段から転げ落ちた弟を玩具修理者に見せることに。死んだ猫と一緒に直し始めた玩具修理者だったが、弟の神経、血管、繊維一本一本をばらばらにして。
最後は、主人公である私も怪我をしていて、頭が猫と混ざってしまったとのこと。
『どうしたの。道夫ちゃんの髪の毛がどんどん抜けていくわ』
『……顔から何か落ちたわよ。』『道夫ちゃんのおなかから蛙みたいな音がしたけど、大丈夫?』
・『酔歩する男』
ホラーと思いきや、バリバリのタイムトラベルSF。未来と過去がまざりまくっている人と話すのは楽しい。
バーで出会ったひとりの男。2人の男が愛した女性を助けるために。手児奈(てこな)さん。
『ちぬそうじさんです』『誕生日は?』『11月28日』『血液型は?』『AB型』
・『相手のことはなんでも分かるが、自分に関係あることは何もわからない』
時間間隔。このあいだ話した先生も仰っていた、『原因は必ず結果に先んずる』。どの方程式も時間はtだが、マイナスでも成り立ってしまう。熱力学の第2法則。エントロピーは時間とともに増大する。
『シュレディンガーの猫』コペンハーゲン解釈。
ふたをあけるとき、生きている猫を発見する確率は五分五分、だが、箱の中には非実在の生きている猫と死んでいる猫がいて、蓋を開けた瞬間にどちらかの猫だけが実在化し、もう一方の猫は消滅する。
量子力学。『素粒子は普段、誰も見ていないときは波動の姿をしていて、誰かに見られた瞬間に粒子の姿をとる』。『波動関数の収束』量子過程。観察するのを止めてももとには戻らない。時間の流れは意識の流れ。意識の流れを操れば、時間の流れもコントロールできる。
古代の古墳を発掘することによって、歴史は確定する。月や火星には非実在の荒涼とした死の世界とともに、非実在の生命に満たされた世界がある。
存在する現象をありのままに観察するのではない。観察することによってそこに現象が実在化するんだ。
タイムリープしていく私。一眠りすると過去に飛んだり、未来に飛んだり。過去にとんで過去を改変すると、波動関数が収束する。
5月14日の次は5月15日、ここに意識の流れあるが、それは本来、時間の流れとは独立している。お前の脳は5月14日の意識をどこに繋いでいいのかわからなかったので適当に繋いだんだ。(眠るときに大脳の働きが弱くなるらしい。)時間は連続していない点の集合なんだ。
過去のことは記憶できるが、未来は記憶できない。記憶とは記録のこと。