まほうのことば

小説の新人賞などに応募しています。本の話や創作の反省。黒田なぎさ

マチルダは小さな大天才:ロアルド・ダール

 

マチルダは小さな大天才 (ロアルド・ダールコレクション 16)

マチルダは小さな大天才 (ロアルド・ダールコレクション 16)

  • 作者: ロアルドダール,クェンティンブレイク,Roald Dahl,Quentin Blake,宮下嶺夫
  • 出版社/メーカー: 評論社
  • 発売日: 2005/10/01
  • メディア: 単行本
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 ・読書会のために。
 ハリーポッターが出る前は、イギリスで一番売れていた児童文学らしい。巨匠ロアルド・ダールは元空軍パイロット。知らなかった。『チャーリーとチョコレート工場』の原作。 宮﨑駿氏が大ファンらしい。
 ・5歳の天才少女マチルダ。両親はとんでもないバカで、彼女の頭脳を信用しない。やがてマチルダは学校に行くが、校長先生がさらに傲慢の固まりで、マチルダはどうがんばるか。

・後半から怒涛の展開。

・イギリスの子たちはこれを読んでるのか……すごい反骨精神が芽生えそう。先生と親に対しての。日本では何があてはまるかな。

ミリオンセラーの児童文学一覧 - Wikipedia

上位はほとんどハリーポッターだが、そのなかに『モモ』が入ってるのがすごい。あれけっこう長いから読めてない子もいるだろうなあ。

  

 

チョコレート工場の秘密 (ロアルド・ダールコレクション 2)

チョコレート工場の秘密 (ロアルド・ダールコレクション 2)

 

 『チャーリーとチョコレート工場(2005年)』の原作。貧乏少年のチャーリーが住む家の近くに、謎に包まれた超人気チョコレート工場がある。ある日そこの工場が「世界に5人だけ、子どもを工場に招待する。チョコを買ってゴールデン当たりが出た人だけ!」。だけどチャーリーがチョコを食べられるのは、年に1回の誕生日の日だけ……。
・結局チャーリーは招待されて、工場見学。子どもが夢見るような、家もチョコ、草原もチョコ、チョコの川。

・チャーリー家の貧乏具合がこわい。貧乏すぎて悲しい。
・映画を見たことがないのだけど、工場長のウィリーが本気でジョニー・デップだった。順番的には逆なのだけど、ジョニー・デップの再現度がすごすぎた。

・30話くらいあるなかで、最終話が『チャーリーのチョコレート工場』なのはゾクっと来た。映画がないと意味がないけれど。

「チョコレート工場」からの招待状―ロアルド・ダール (名作を生んだ作家の伝記)

「チョコレート工場」からの招待状―ロアルド・ダール (名作を生んだ作家の伝記)

 

 ・ダールの伝記。ダールは幼少期、父親が亡くなったり、学校で校長にいじめられたり(?)、不遇な環境だったもよう。ただお母さんが素晴らしい人で、ダールが母親に書いた手紙は全て残されていたらしい。くわしくは自伝『少年』『単独飛行 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』で。
 ダールは大学に行かずに、第二次世界大戦中に空軍パイロットに。事故とかにもあったらしい。爆撃機を何機か破壊し、相手パイロットの脱出パラシュートを見ると「ほっとした」という。事故の後遺症が響いて、大使館つきの軍人になる。作家さんに「パイロット時代の取材をさせて」と言われ、話すよりメモに書いたほうがいいだろうと思ってメモを書いたら、「このまま出版しろ」と言われた謎の才能。最初はパイロットの話、つぎに大人向けのサスペンスな話。児童文学は結婚して子どもができてから。奥さんは大女優のパトリシア・ニール

・一作を書くのに結構な時間をかけるタイプ。児童文学には1年以上かけるときも。結構、自分の体験をもとにしたものを書く。(幼少期の家の近くにチョコレート工場もあったらしい)。自宅の敷地内に小屋を置き、鉛筆で書く。思いついたアイデアは子どもに話し、ウケが良かったら話を書く。とにかく、子どもによくお話をしていたらしい。

いいアイデアがうかんだら、いいかい、それを忘れないようすぐさま書きとめるんだ。そうしないと、まるで夢のように消えてなくなってしまうからね。

いくつもの山を超え谷を超え、いろんなものを超えると、まず目に入ってくる眺めがあるから、それを書きとめていくんだ。

道中でいちばん高い山が、ほかでもなく本の結末だ。だって、そこからの眺めがぴかいちのはずだからね。

さて、正午になると、ダールはひと休みして昼食にする。続けて書いていられるのは二時間までだ、とダールはいいはる。二時間をすぎると、さっぱりはかどらないらしい。(中略)。お昼を食べ終わると、本を読んだり、家の周りや庭をぶらぶらして趣味を楽しんだりした。そのあと午後四時には小屋へもどって、また二時間執筆した。

・5子の父親。困難に立ち向かう人らしく、奥さんが脳卒中になったときも、子どもが脳に障害を負ったときも、技術者と協力して医療機器を作ったり、病気について調べまくって奥さんのリハビリをしまくったらしい。すごい人。しかし自伝には書かれてないものの、離婚の原因はダールの浮気だったらしい。奥さんの自伝もあるので、そっちも読んだほうがフェアかもしれない。

・代表作、『マチルダは小さな大天才』は、最晩年の作品。亡くなる2年前に出版。

 

少年

少年

 

 

単独飛行 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

単独飛行 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 

真実―パトリシア・ニール自伝

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