まほうのことば

小説の新人賞などに応募しています。本の話や創作の反省。黒田なぎさ

第7回ゴッドガンレディオお返事

・ラジオで拙作に言及頂いたので、お返事記事です。

 

 

・言及は1:17:52 ごろから

あらすじ

 気弱な男子高校生のソウマには、伝説の神ヴィシュヌの人格が宿っていた。彼のことが好きなシイカは性格正反対の2人に振り回されるが、因果は数千年前の神話までさかのぼり…。SFラブコメディ

 

●梗概がない
 もともとは第3回新井素子先生の『生き物をつくってみよう』で提出した梗概でした。「へんな生き物」を考えていて、「宇宙を3歩でまたぐ」「化身が10体以上ある」「幻術を使い、実はこの世界そのものも幻術で作っている」というヴィシュヌ神を選びました。そのときから梗概は結構変わっています。やはり0から資料を調べるのは大変でした。(というのと、前回の『はじめましてSci-Fiさん』が大変すぎた)
 叙事詩の『ラーマーヤナ』を読んで、最後、ラーマ王子がシータ姫をふって自分は驚きましたが、この展開がなかったら作品ができませんでした。

●展開が力業
 スケールの大きな話が苦手な上に、不老不死かみさまのオチをどうすればいいのか、わりとしんどかったです。(不老不死なので大体の目的は達成されてるしオチが難しい)。またどうしてソウマにとりつくのか、シイカは何のためにいるのか、オチの伏線を貼れるか、が大変でした。
 そもそもこういう短編では、「すでにソウマ=ヴィシュヌだとシイカが知っている」時点からスタートするのがセオリーではないかと思います。初めましてのシーンから始まると、どうしても冗長になり後半の展開が急になります。

 

●宇宙にとびだすところ
 初めに思いついたシーンです。もっとていねいに書けたらよかったのですが、筆力不足でした。実際に人が宇宙に行くと科学考証が色々めんどうなので、神様パワーはすばらしい。神様はなんでもできる。

●ソウマくんとび降りヴィシュヌチャレンジ
 ヴィシュヌの謎パワー(?)により、体が丈夫みたいになりました。もっとボロボロで大変のほうがシイカの使命感が燃えたかも。ソウマくんが幼いのは、ヴィシュヌやシイカたちの性格と大きく対比させるためと、私が「モテる男の子」がよくわからなかったためです。梗概の段階では、ソウマくんはもっとイケメンスポーツバカ男子でした。

 

ラーマーヤナを教えてくれる先生(名前もない)
 唐突感がありますね。意見交換回でも「こいつを別の神様にするといいのでは?」という意見が出ました。本当は冒頭に登場する予定だったのですが、(シイカの友達の代わりとして)、シイカとギャル会話ができそうになかったのでカットしました。冒頭で屋上にいるシイカを叱っておいて、学園マンガによくいる先生と思いきや、あとで活躍、というほうが良かったかも。

●エッチな描写?
 私の趣味ではないのですが、ヴィシュヌがシイカの秘密と弱みを握るためにああいう感じにしました。『好きな人の別の人格と話せる』『考えてることがばれる』『シイカにとってヴィシュヌは邪魔な存在』を強調する感じでした。(あまり展開に生きてないですが)。別にエロさを出したいわけではないです。浮いているのはわかっていたので、もう少しマイルドな秘密にしたほうが良かったですね。シイカがソウマ君のために宇宙の本を読もうとして何回も挫折してたとか、恥ずかしい秘密。

 

●優しい世界
 意識というか、優しい世界しか書けないのが現状です。人が死ぬとかはまだいけますが、いじめとか悲恋とか好きなキャラ同士が喧嘩するとか、リアルな暗いことが書けず、弱点だと思っています。(共感性羞恥?とかいうのも高いらしく、恥をかくシーンも難しい)。今回のオチも、実はシータ姫は何千年の間にすでに別の男の人とくっついていて、ヴィシュヌがマジギレする、みたいなものも考えましたが悲しすぎました。よく主人公に困難さを与えるのがエンタメの基本と言われているので……。

 

●講義では
 先生には、『ライトノベルとしてならオチはこれでいいが、SFとしてはやはり、世界が広がるような、スケールが広がるような感じにしてほしい』的に言われた記憶です。飛さん回というのもあり、SF度合いが重要のようでした。今までSF要素を避けているところがあったので、次回はSFを詰め込む感じにしたいです。今回は自分で初めて実作と梗概を同時に出せて、「量」はそこそこうまくいったので、次は「質」にこだわりたいです。

 

意見交換会では
 シータ姫がもっとやばい感じ(?)の性格でもよかった。シイカももっと現代ギャルでも良かった。「好きな人と連絡するならLINEで良くね?」とか。
 → きっとシータ姫はシイカに影響されて、どんどんギャル語になりそう。
 もっと悪くてえぐいセリフが書けそう。いまはセーブしてる感じがする。その通り。
・一人称があまりうまくない。「いろいろあったけど~」など、過去を見るような視点で書いてはいけない。「あたしが」が多く、シイカから一歩引いたような視点で書いている。おそらく作者が女子高生じゃないせい。
 →つぎの作品もおそらく一人称なので、もっとグンと入れるような一人称にしたい。

 

●次回、梗概

 正直、梗概を読まずに実作を読んだ方が楽しいし面白いし正しい評価だと思います。ちかごろ〆切の2日後に講評会とかやってるのですが、実作の読み方がすでに「梗概の確認」になりつつあり、オチも知ってるしあまり面白くない。先生もきっとそうで、梗概からたくさんジャンプアップした実作のほうが楽しいだろうなと。
 つぎは、すべての人間が18歳で寿命を迎えてしまうディストピア世界。どろどろしたものは書けないのでまたやはりふんわり系になりそう。


 

・参考文献

ゼロからわかるインド神話

ゼロからわかるインド神話

 

 ・イラストいっぱいで、神話や叙事詩のあらすじも書かれていてありがたい。(資料はまずあらすじを読もう)。この本だけ買ってしまう。

ラーマーヤナ

ラーマーヤナ

  • 作者: エリザベスシーガー,鈴木成子,山本まつよ
  • 出版社/メーカー: 子ども文庫の会
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 単行本
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・ 子ども向けに書かれた本。子ども向けだが結局、最後のシータの貞節うんぬんの話は書かないといけないので、ラーマは許されない。でもラストはシータとラーマが仲直りしてハッピーエンド。ほぼすべて目を通す。

新訳 ラーマーヤナ (1) (東洋文庫)

新訳 ラーマーヤナ (1) (東洋文庫)

 

 ・ガチ翻訳。全7巻くらいある。1,6,7巻目をちらみ。