まほうのことば

小説の新人賞などに応募しています。本の話や創作の反省。黒田なぎさ

ひゅーまに

 ・まだまだSF大賞祭り

My Humanity (ハヤカワ文庫JA)

My Humanity (ハヤカワ文庫JA)

 

 ・表紙はゆるいが、中はガチガチガチのSF。無骨さと汗臭さしか感じられない短編集。

 

★『地には豊穣』:人の経験や技術を、他の人にコピーすることができる技術「経験伝達」をめぐる事件。有能な人を大量生産することが可能。その技術は文化も破壊してしまうのか。

 

★『allo, toi, toi』:少女殺害事件を起こした囚人の話。自分の良心によって脳内にキャラクターを作る技術を埋め込まれる。ストレスや不安を察知して脳内で声をかけてくる少女 ”アニマ” 。「ケーキが甘いから好きなのか、好きだからケーキが甘いのか」。好きと動機、行動のちがい。

 

★ 『父たちの時間』:原子力発電所に利用されるナノマシン『クラウズ』が謎の大量増殖を始める。技術者と科学者たちの奮闘。硬くて後半は読めなかった……

 

★きになったところ

・脳内検索ができる。攻殻機動隊みたい。

・自分が考えたことを文字に出力できる技術。死ぬ間際の断末魔。うひゅう。

・アニマすごい。脳内でささやいてくるキャラクター。それはキャラじゃなくて、自分の脳が作り出した分身みたいなもの。2重人格とは少し違う。すげーけどこええ。

 

 

★ チグリスとユーフラテス。つづき

・SFはありえないような新しい世界を創造するのが目的なのかもしれない。だが人はそれを求めているのだろうか……もう現実の方が圧倒的にSFっぽいし謎だらけだし、わざわざ新しい世界を作る必要があまりないような気もする。オデッセイもそうだったが。これはファンタジーとかとはちょっと違うのだろうか。

 ・コールドスリープから目覚めた人たちによって語られるナインの歴史。Amazonのあらすじではこれを「惑星ナインの逆さ年代記」と読んでいる。独特で良い