まほうのことば

小説の新人賞などに応募しています。本の話や創作の反省。黒田なぎさ

最後にして最初のアイドル

・つかれている 

最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA)

最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA)

 
伊藤計劃トリビュート2 (ハヤカワ文庫JA)

伊藤計劃トリビュート2 (ハヤカワ文庫JA)

 

  ・トリビュートの中に収録されていた『最後にして最初のアイドル』。
 2016年ハヤカワSFコンテスト特別賞、2017年 星雲賞(日本短編部門)受賞。

 

・文庫の表紙は全然関係ないというか、アイドルの話なのだが、序盤早々にぐちゃぐちゃの血みどろ臓器だらけSFになる。下手をするとアイドル要素より臓器要素のほうが多い。

・臓器だらけになるまで、序盤のアイドル生活は良かった。別に後半がダメというわけではなく、序盤のほうがストンストン心に来た。あまり序盤と後半部分がつながってない感があった。

・あらすじは「アイドルになりたかった女の子が、形を変えながら、未来永劫生き続けて、人類が絶滅しても地球が滅びてもアイドルになろうとする」話で、そんなに真新しいあらすじでもない(と思う)。過去に誰かが考えていたとしてもおかしくない。ただそれを書ききったのが素晴らしいし、イメージを具現化できたところがすごい。「何が起きてもアイドルになる」の「何が起きても」の部分が、第1段階から第7段階くらいある。もっと面白くしたいという気概が伝わってくる。これが良いところ。

・強いて言うなら、前半と後半があまりつながってないように見え、後半になると友達もあまり出てこない。またアイドルとファンの関係がいまいち見えてこないので、前半にファンが出てくるともっと良かった感じある。

 

 

・タイトルの元ネタはこれなのだろうか。

最後にして最初の人類

最後にして最初の人類

 

 

ゲームの王国・上

・あぶー。

ゲームの王国 上

ゲームの王国 上

 

・2018年2月25日に第38回日本SF大賞受賞。 2018年5月16日に第31回山本周五郎賞を受賞。

ジャンルはSFなのだが、「SFにしておくにはもったいない」と言われている。

・舞台はポルポト政権時のカンボジアを生き抜いた、ひとりの少年と少女の話。当然だが人がどんどん死ぬ。少年少女と言いながら、出てくるのはほとんどおじさんだし、子どもゆえの「なにもできない」とかのイライラする感じはない。むしろ子どもはとても頭がいい。

300ページくらいはこちらで読んでいた。全編収録されていると思ったが、そんなわけはなかった。本編は上下巻の大ボリューム。

ポルポト政権は貧富の格差が激しくなる資本主義をにくみ、共産主義に走ったが、民衆による革命を恐れ、知識人をつぎつぎと殺した。(ポルポト政権も革命で生まれ、自分たちも知識人だった)。すべての国民を農業に従事させ、すべての所有を禁止し、資産だけでなく、愛などの感情まで所有禁止とした。農業生産率をアップしようとしたが、全く効果が出ない。医者は全員子どもで、兵隊も全員子どもだった。

 貨幣という概念がなくなり、資材や財産が消え、物々交換も禁止とされた。

・聞けば聞くほど、「確かにそうかもしれないけど」という考え方。『すべての資産を国がコントロールし、全ての国民を農業に従事させる』。資本主義で貧富の格差がそれほど凄まじかったのかもしれないが。資本主義と共産主義を勉強するにはいいかもしれない。

 

・所有、財産、金銭、知識。革命の妨げになる概念は燃やし尽くす。

・強制労働のところを読んでいるとき、フランクルの『夜と霧 』を思い出した。人は極限状態のところにいると、考えていることがかなりおかしくなってしまう。

・「ひとのウソを見抜く能力」をもった子が現れるが、こういうときにかなり力を発揮する。告発につかえる。そういう能力の話もあったらおもしろい。

・上巻のラストシーンがすばらしい。命のギリギリのとき。

七つの小さな丘を駆け足で登りながら、今の自分が一冊の書物の終わりなのか、あるいは始まりなのか、そんなことを考えた。その書物が自分と家族の話であれば、今物語は終わりに差し掛かっている。では、どういった書物であれば、今の自分が序章になるのだろうか。

ここでどうでもいい回想が入る。すごい。走馬灯というやつだろうか。

・下巻はまた雰囲気がガラリと変わるらしい。(下巻でようやくSFになる。)

・下巻の感想

chrestomanci.hateblo.jp

本を売る人たち(追記)

い・資料 

調べよう! 日本の本屋さん

調べよう! 日本の本屋さん

 

 ・日本の出版文化は京都から

・はじめて洋書の輸入を行った丸善(1869年)

・英和辞典の三省堂書店1881年)

夏目漱石先生の岩波書店岩波新書(1913年)

紀伊國屋書店(1927年)、新栄堂書店(1946年)

・なぜ委託販売制度? 返本制度? 

見てみよう! 本屋さんの仕事

見てみよう! 本屋さんの仕事

 

 ・平積み、面出し、たな差し、

・ブックカバーの作り方

・ISBNコード、Cコード(日本独自、分類法)

・書籍JANコード=ISBN + Cコード

・スリップ(売上カード、注文カード 

もっと知りたい! 本屋さんの秘密

もっと知りたい! 本屋さんの秘密

 

・各地の本屋 

 

本屋になりたい: この島の本を売る (ちくまプリマー新書)

本屋になりたい: この島の本を売る (ちくまプリマー新書)

・沖縄で開店した古本屋さんの話。店長は元新刊書店の社員。
・ラインナップはおもに沖縄の本だが、沖縄で沖縄の本を売るのも不思議だけど、やっぱり地元のことを知りたくなるのかな。

 

・古本屋は新刊書店と違い、値段のつけかたも、何を仕入れるかも全て自由。
・「いいんだよ。もし売れなくても、この店にはこんな本があるんだとお客さんに感心してもらえれば。看板を買ったと思いなさい」

・古本屋だが、新刊も仕入れてみると意外と売れる
・新刊書店では、品切れになった本は販売できない。図書館か古本屋しかない。

・本屋はすべての本を読むことはできない。ただぱっと見ただけでどんな本か何となく分かる

 

・最近は、取次を通さずに、本屋と取引する出版社が増えた。沖縄の出版社はもともと直接取引することが多かった。沖縄本島をぐるぐる回ればいいから?とのこと。また新刊書店がもともと厳しかったというのもある。

・新刊書店は、出版社から委託されて本を売っている。ゆえに売れなかったら本を返すし、在庫が山となっているわけではない。

・本は天下の周りもの。

・「本は触ると売れる」すごい格言だ

・古本は業者や組合が充実している。全国古書籍商組合連合会。市会で本を持ち寄って市をするらしい

・いきなり『センセイの鞄』のあらすじがでてきて笑う。

岩田書院。ひとりでやっている出版社。

・再販制。再販売価格維持制度。については、まだ議論中のもよう。なくなると小さな本屋がなくなるとの声も。

 

・なぜ沖縄で出版が盛んなのか。おそらく沖縄員は独特な文化と歴史があり、本島の本では追いきれていないから、とのこと。出版社も結構ある。

・沖縄では個人で本をつくる人もかなりいるらしい。地産地消。すげ。

・「あなたの本を図書館で借りて読みました」というのは嫌われそうだが、期間内に読む気がある、という保証がついているので意外と嬉しい。買ったまま置いておくとか、義理で買うとかはないということだから。

 

書店の棚 本の気配

書店の棚 本の気配

 

伊藤計劃トリビュート

 

・『ゲームの王国』 途中まで

  

伊藤計劃トリビュート2 (ハヤカワ文庫JA)

伊藤計劃トリビュート2 (ハヤカワ文庫JA)

 

 ・尾行を気にするシーンからスタート。

・郵便局で荷物を抜き取る男、切手をはがす男。

・『ここ数年は、真実よりも嘘を話している量のほうが多い気がする。口にでかかった言葉を一度棚の奥にしまい、別の言葉をっ別の棚から引き出してくるのが癖になっている。』

・資本家は設けたお金で機械を買い、労働者をクビにする。

・尻は資本家であり、女性器が愚かな政治家であり、男性器が革命的マシンガンである。

・「おじちゃんは死んだよ。」紙に書いてある「まだ何も喋るな。」。

・『一度偉くなってしまえば、みなが彼を正しいと思う。何か間違ったことをしていても、自分のほうが間違っているのではないかと思い込む。俊足のペンのように。』

・二十一日間、土だけを食べて生活する。地面でマスターベーション

 

・あとがき(伊藤計劃氏に向けて)

 『すべての小説は「血で書かれたもの」と「インクで書かれたもの」の二種類になる。

 血で書かれた小説は、本を閉じて日常の世界に戻ったあとも、眠りについて目が冷めたあとも、何年も立って小説の内容を忘れてしまったあとでさえも、僕達を呪い、縛りつけ、どこか孤独で憂鬱な気分にさせます。

 あなたが残した数少ない作品は、どれもぼくにとってかけがえのない「血の小説」でした。

 あなたの亡霊を探すのではなく、あなたに近づこうと試みるのでもなく、ひとりの作家として、自分なりの「血の小説」を追い求め続けること、それが僕にできる唯一の『伊藤計劃トリビュート』だと思っています。

 たった一行でもいいので、拙作のどこかに僕の血が滲み、そのノイの言葉が、生臭い匂いが、あなたの作品の残り香になっていれば、これ以上の喜びはありません。(小川 哲)』

覆面作家企画8 意気込みテンプレ


◆意気込みテンプレート

 黒田渚(以前に小杉蘭)
 小説家になろうのマイページ https://mypage.syosetu.com/521516/

 Twitter  黒田渚 (@KosugiRan) | Twitter

 参加ブロック D

■自己紹介

 小説家志望です。SFと現代ものが多めです。

■好きなWEB作家さん&WEB小説作品

 近頃はさっぱりwebを見られてないのですが。

 立田先生……尊敬しておりますぅ。

■好きな作家さん&作品

 北村薫川上弘美新井素子瀬尾まいこ/上田岳弘/宮内悠介/島本理生/D.W.J

■最近読んだ本の中で、オススメの1冊と言えば何ですか?

  ウーン。エマノンシリーズとか……。

 

■作家以外の趣味はなんですか?

 一応、プログラマだったのですが、最近は図書館司書の資格をとったり。

■今まで、覆面作家企画に参加されたことはありますか?

  第1回: 『花束の定理――結婚相談所――』

  第3回:『 空の君』 

 もう10年前くらい……ヒエッ。

■この作品を書くのに、どのくらい時間がかかりましたか?

 6000文字以下の作品に慣れてなくて、1週間くらいかかりました。前の企画では10000文字くらいあった気がするんですが。

■推理をかわすための作戦は?

 完成させるのに必死だったもので……

■ズバリ言って、今回、あなたの作品を推理するのは簡単ですか?

 ウィ。

■この企画のために書いた作品、他にもありましたか?

 プロット段階ではたくさんありました。書いた作品はないですが、参考にした本はあります。

■あなたが最近、良く書いている作品のジャンルは何ですか?

 SFの創作講座に所属しているので、SF多めです。

■この企画への参加作品以外で、一番最近書いた作品は?

 『モルテ・マッキナ』 葬儀屋にアンドロイド社員が入ってきたら?のお話。

■その作品は、推理のための重要なヒントになりますか?

 どの作品もですが、セリフとセリフの間の、地の文のバリエーションが乏しいです。あと人物描写がよくテンプレで、以前もそれで見破られたような。

■参加者さん&読者さんに一言。

  よろしくお願いします。

映画祭り

・何日がんばっても、どうしても生活リズムが整わないので、もうあきらめつつある。
・眠れなかったので映画祭りをした。

 

バック・トゥ・ザ・フューチャー (吹替版)

バック・トゥ・ザ・フューチャー (吹替版)

 
バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3 (吹替版)
 

 ・言わずと知れた名作なのだけど、実は1度もちゃんと見たことがなく、ずっとモヤモヤしていた。小さい頃にチラ見した覚えがあり、初めてデロリアンが空をとぶシーンだけ印象に残っていて、「映画(part 1)の終わりと始まり(part 2)が同じだ、不思議」とだけずっと思っていた。

・初出はそれぞれ1985年、1989年、1990年。製作総指揮はスピルバーグ

・ドク(クリストファー・ロイド)/青野武 がかわいすぎて最高だった。セリフだけいっぱい知っていたので楽しい。

・きっとシナリオの勉強にたくさん使われてる。

・ある同人漫画家さんがタイムトラベルものが好きで、BTTFも好きで、その方はもうお亡くなりになったのだけど、自分がメトセラものが好きなのは、この方の作品の影響なんだろうな。

 

ブレードランナー ファイナル・カット(字幕版)
 

・結局、公開時に見れなかった『ブレードランナー2049』。せめて前作は見ないと。監督はリドリー・スコット、初出は1982年。古い。

・原作は『電気羊はアンドロイドの夢を見るか』。人間そっくりのアンドロイドが人間を殺害して脱走、ブレードランナーと呼ばれる主人公はアンドロイドたちを追う。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

 

 ・ハリソン・フォードかっこよすぎる。

・『ゴースト・イン・ザ・シェル』のときもいっぱい言われたけど、サイバーパンクの街の風景ってずっと変わってないのかな……。それかオマージュ。変なゲイシャの画像とアジアがごっちゃになったようなアレ。

・自分はずっと自分のことを人間だと思っていたが、じつはアンドロイドだったらどうか。子どものころの記憶はある、感情はある、自我はある。だが寿命はほとんどないと言われたら。こういうテーマはずっと使われてきたんだ。

やればできる国

・訪日外国人の数が2倍に。現在進行系でガンガン進んでいる改革を見ると楽しい。 

世界一訪れたい日本のつくりかた

世界一訪れたい日本のつくりかた

 

・2015年発売の『新・観光立国論』『新・所得倍増論』の著者の方。あれからいろいろオファーがあり、政府プロジェクト?の「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」 などにも呼ばれている。今回は改革の結果の展望と、これからのプロジェクト。

・本を読もうと思って1ヶ月、ここまで小説に手をつけていないというのがわりとひどい

・日本の訪日観光客は、2013年の1000万人強→2016年の2400万人までジャンプアップ。いろいろがんばって、2020年までに4000万人までが目標になったらしい。すごい。

・基本的に、遠くへ海外旅行するほど、長く滞在し、多くのお金を使う。隣の韓国へは2泊3日でいいが、ヨーロッパに行ったら1週間位はいくだろう。逆に考えて、ヨーロッパ、アメリカから遠い日本は、多くのお金を落としてくれるチャンス。

・いままで日本の観光業は、おもに国内向けで、GWや連休にドカンと人が来るのをさばくのが目的だった。(中国からのツアーもこれにハマっていた)。が、今後は客ひとりひとりの満足度を上げ、リピーターを増やし、落とすお金を増やしてもらう。

 ・いろいろ頑張った結果、これからは頑張ったお店がんばらなかったお店がくっきり分かれるようになり、 残酷な光景になりそう、とのこと。すでに観光地のお土産屋さんで起きている。

・日本の自然が豊かな理由は、災害が多くてドカンドカン自然が壊れるので、生態系が度々ひっくりかえり、結果として豊かな生態系があるのではないかとのこと。

・文化や文化的遺産だけで売っていくのはきびしいので、自然ツーリズムを行うこと。日本はこれが全然できていない。つまり釣りとかスキーとかキャンプ。そちらのほうが長く滞在してくれる。

・フランス人は意外と旅行しないので、狙っていくのは「ドイツ人」である。フランス語のパンフはまあ……

・パンフレットに「交通アクセス』情報を入れる意味について。いるかしらん。

・「So what ?」

 

・説明文&キャッチコピー、日本語→英語の翻訳はかなりやばく、正確に翻訳できたとしても、そもそも「外国人に意味がわかる事柄なのか」「外国人が興味があるのか」などは全然クリアできていない。誤解を生まないためにも、翻訳ではなく、「外国人が1から文を作る」ほうが無難。

・多様性、多面性を意識する。つまりどこにキョーミがあるか、をいろいろ考えておく。

・アメリカは訪米観光客数は2位だが、収入だと1位。6.7%の観光客から、世界の観光収入の16.5%を稼いでいる。うへえ。

・日本は人口で見ると空港がかなり少なく、5つ星ホテルがない。

・ノスタルジーな写真ってどう。つまり日本人が「いいなあ……」と思う写真と、外国人がいいなと思う写真はおそらく違う。

・IRがやっぱり必要。総合リゾート施設は、富裕層だけでなく一般層も楽しめる。

 

・文化とスポーツが似ている。アメリカのスポーツ収益は60兆円、日本は4兆円、ちょっと低すぎる。オリンピックのメダル獲得数(国民一人あたり)も、日本は30位以下。アメリカも少し前まではスポーツ収益だめだったが、野球スタジアムを誰にでも楽しめるようにした。下手をすると、野球を知らない人でも楽しめる施設に。

文部科学省は「教育・文化保存」が主なので、収益・産業化には向いていない。スポーツと文化財文部科学省から切り離し、「文化・スポーツ・観光省」を作ったほうがよい。サッカースタジアムではサッカーを見るべき、文化財の良さは分かる人だけわかればよい、というのはだんだんマニア向けになってきている。マニア向けの文化はやがて廃れる。サッカーに興味がない人でも楽しめるように。

・今回の改革を見て。”アナリストをしていた時代から、日本はなかなか改革が進まない、構造的な問題を放置し続けるという問題があるものの、ひとたび手をつけるとものすごいスピードで社会が変わっていくと実感していました”